世界ランキング3位の新馬場一世(30=西濃運輸)が、昨年9月のベルリン大会以来1年ぶりに決勝の舞台に立つ。

8人で争った準決勝。4番目に登場した世界2位のキンテーロ(スペイン)が26・14をマークしていた。7番目にコートに立った新馬場の形はアーナンダイ。スピードとパワーを両立させた演武でスタンドの声援を浴び、大型スクリーンに浮かび上がった得点は26・60。世界選手権3連覇中の絶対王者・喜友名諒(29=劉衛流龍鳳会)が別ブロックの2回戦、準決勝で出した26・86に次ぐ高得点で逆転した。

「大人になってからは全然勝ってないですねぇ」。色白で端正なマスクに汗を浮かべながら新馬場は笑った。1歳下の喜友名が国内、世界の舞台で常に壁になってきた。1年前のプレミアリーグ決勝でも同じだった。何とか現状を打破しようと今年に入って減量に取り組み、体重を約6キロ落とした。スピードを重視した演武が狙いだったが、1カ月前の東海国体では大学生に敗退。「自分自身の感覚はよかった。でも、形はあくまで審判の評価。それに合わせなければ」とこの大会までに68キロから74キロに増量。速さと力強さを調和させた調整が結果につながった。

8日の決勝の相手はもちろん喜友名だ。「空手は勝ち負けだけではない。ただ、武道の聖地・武道館という最高の舞台。絶対に勝ちたい」。新馬場が昨年3月以来のプレミアリーグ5勝目をかけて王者に挑む。