男子100メートルバタフライで、18歳の石川慎之助(日大)が、世界選手権銅メダル相当の51秒11で初優勝した。前半を24秒16で折り返し加速。日本記録51秒00(09年河本耕平)まで0秒11差に迫る日本歴代2位の好タイム。7月のユニバーシアード金メダルの有望株が、自己記録を0秒81も更新した。白血病で闘病中の池江璃花子(19)とは同級生。池江を指導していた三木二郎コーチ(36)の教えを受けオリンピック(五輪)を射程圏に捉えた。

刺激的なタイムだ。身長167センチの石川が、50メートルのターンから伸びた。持ち味のドルフィンキックでトップに浮上し、ぐんぐん加速。51秒11は世界選手権銅メダル相当だ。石川は「51秒中盤かなと思ったが、51秒1台とは…」とびっくり。直後の400メートルメドレーリレーで第3泳者を務め、最下位から2位まで順位を上げた。異次元の泳ぎで、チームに優勝をもたらした。

応援席には2日連続で池江の姿があった。「病状によっては来られないこともあるのに来てくれて『頑張れ』って。力をもらった」と石川。「彼女の励みに少しでもなれば。代表に入って(同級生の)吉田啓と一緒に彼女の帰りを待っていたい」。

出会いがあった。池江を指導する三木コーチが6月から日大に加入。池江と同じ100メートルバタフライの石川は、三木コーチのメニューで鍛えられた。「璃花子はぼんぼん日本記録を出していた。高い強度で泳ぎ続ける練習。その成果を実感した」。自ら「サボり癖がある」という18歳。三木コーチには「練習を無断で休むことがあったが…。報告、連絡、相談は必要です」と指導されている。天性の加速力に努力がプラスされれば、東京五輪でのメダル争いも夢ではない。【益田一弘】

◆石川慎之助(いしかわ・しんのすけ)2000年(平12)12月8日、愛知・西尾市生まれ。5歳で競技を始める。中京大中京高3年の昨年8月に51秒92の高校記録をマーク。今春日大に進学。7月ユニバーシアード大会は52秒05で金メダル獲得。167センチ、69キロ。