【グルノーブル=松本愛香通信員】男子ショートプログラム(SP)4位発進の宇野昌磨(21=トヨタ自動車)がフリー9位の136・79点と伸ばせず、合計215・84点で15年のシニア転向後最低となる8位にとどまった。トリプルアクセル(3回転半ジャンプ)で2度転倒するなど精彩を欠き、涙を流した。シリーズ2戦上位6人が対象で、4季連続出場していたGPファイナル(12月、イタリア・トリノ)は絶望的。次戦は第5戦ロシア杯(15~17日、モスクワ)に臨む。

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「ショ~マ! ショ~マ!」。得点発表を1人で待つ宇野は、自然発生した声援に包まれた。215・84点、8位。その目には涙があふれ出た。ファイナルを含むシニアGP13戦目で初めて逃した表彰台。「自分がもし1人で演技をして、歓声が何も無かったら決して泣くことはなかった。うれしさと言葉では表現できない涙が出てきた」。のどかな田舎町グルノーブルで受けたねぎらいに感謝した。

本来の姿にはほど遠かった。演技中盤の3回転半で転倒し「崩れてしまった原因の1つ」と認めた。2本目の3回転半も氷に体を打ち付け、スピン2つはレベル2(最高は4)と崩れた。それでも「いい演技とは全く言えないけれど、僕は最後まで諦めなかった」と胸を張る理由はあった。

5季連続出場を目指したGPファイナルは絶望的。シリーズ2戦上位6人が進む大舞台は、昨季の進出ラインが20点(2位+5位)だった。今大会で3点に終わった宇野は、第5戦ロシア杯を残すが、仮に優勝(15点)しても18点が最高。メインコーチ不在の今季、厳しい立場を自覚した上でも諦めない心は忘れなかった。逆襲はここから始まる。