ミスター・ハンドボール宮崎大輔(38)の日本代表復帰アピールはならなかった。

宮崎が所属する日体大は日本リーグ昨季5位のトヨタ紡織九州と対戦。前半12-19と大量リードを許し、後半の追い上げも届かず28-29と1点差で敗れた。相手のマークにもあってプレー機会も少なく、得点も1に終わった宮崎は「ボールも来ないし、見せ場はなかった」と悔しそうに話した。

この日のスタンドには日本代表のダグル・シグルドソン監督の姿も。「特定の選手ではなく、全選手を見に来ている」と話したが、今年1月の世界選手権に招集した宮崎も代表候補であることは間違いない。もっとも、宮崎が日本代表でプレーする左サイドで実力を見せられなかったのも事実。「メチャクチャ意識したけれど、厳しいですね」と代表復帰への道のりが厳しいことを自覚して言った。

もっとも、東京五輪への強い思いは変わらない。04年アテネ大会から挑んでは跳ね返され、開催国枠のある今回がラストチャンスになるはず。来春の関東大学リーグまで公式戦はないが「トレーニングをして、いつ呼ばれても大丈夫なようにしておく。ケガ人が出るかもしれないし、何が起こるか分からないから」。務めて前向きに言った。

さらに、プレースタイルを進化させることにもこだわった。日体大では日本代表のポジションに合わせて左サイドでプレーしているが「(日体大の)松井監督とも相談して、センターでもやれるようにしたい」と話した。大崎電気時代やエースとして日本代表に君臨してきた時のように後方から攻撃をリードすることにも意欲をみせた。「複数の動きができれば、武器になるはず」。14人と少ない五輪の登録人数を考えて「ポリバレント」を目指す。

日本ハンドボール界にとっては唯一無二の存在ではあるが、若手の台頭などで状況は厳しい。この日勝てば、さらに日本リーグの強豪と対戦してアピールするチャンスもあったが、1点届かなかった。「僕も頑張るけれど、みなさんの力も必要。お願いします」と、集まったメディアにも笑顔で懇願していた。