ソフトボール女子日本代表合宿が13日、沖縄・読谷平和の森球場で公開され、最年少の18歳左腕、後藤希友投手(みう、トヨタ自動車)が東京五輪代表へ「全力を出し切って(代表)15人の枠に入りたい」と熱い思いを語った。

午前中は守備練習などで約2時間汗を流した後藤は、午後にはウエートからの約200球の投げ込み。最後の球場周りのランニングでも他の選手より1周多く走るなど、若さあふれる動きを見せた。後藤は練習終わり数分後に、疲れた表情も見せず取材に応じた。「他の同年代の選手に比べて代表でいろんな経験をさせてもらっている。先輩たちも時には優しく、時には厳しく、学ぶことがたくさんある」とすべて吸収して成長につなげるつもりだ。

小学校からソフトボールを始め、中学で全国大会優勝、高校でも3年時にインターハイ準優勝、日本代表選出など輝かしい経歴を持つ。今年4月から社会人となり、トヨタ自動車に入社。得意とする直球のコントロールを磨いたが、チェンジアップ、ドロップと縦の変化球のみで球種が少なく「今まで抑えられていた球が打たれるようになった」と苦しんだ。それでもチームメートの日本代表選手にアドバイスをもらいながら精度を上げ、10月の伊予銀行戦でリーグ戦初勝利を挙げ、11月、1年半ぶりにソフトジャパンに選出された。

実は今合宿で後藤と本紙記者はある「接点」があった。宇津木監督の発案で、12日の練習後に報道陣との野球大会が実施された。相手は代表スタッフ…かと思いきやソフトジャパンフルメンバーで先発は後藤だった。宇津木監督の指示で後藤は報道陣相手に全力投球。本紙記者も打席に立ち、結果はもちろん三振。ボールが見えたときに振り出しても遅く、捕手のミットにバシッという音が響くばかり。18歳の“大人げない”投球に後藤は「選手じゃない人に投げるのは初めてで楽しかった。当てないように外角に投げました」と当たり前ながら余裕の表情。手が出なかったボール球も際どいコースに正確にコントロールされていた。プロとの貴重な「初対決」で後藤のすごさを肌で感じた瞬間だった。

日本代表15人は来年3月22日の理事会で決定する。現時点でエース上野と藤田は確実な中、3番手争いに食い込んだ後藤は「選ばれる自信は五分五分。まだまだ力不足で経験は少ないけど、左投手の強みを生かして頑張りたい」と意気込んだ。草野球歴30年の本紙記者の説得力では少々弱いが、後藤が代表入りする可能性は十分にある。【松熊洋介】