左右のキッカーが、着実に得点を重ねた。報徳学園(兵庫)が大会最多得点を更新する162得点を記録した。走り抜けて奪った24トライと、集中を研ぎ澄ませたキックで加点を繰り返す。前半は主将でFBの山田響(3年)が10ゴール。後半はリザーブ22番の伊藤学(2年)が11ゴールを決めた。

後半から途中出場した伊藤は「(山田は)普段からキック練習に付き合ってくれたり、教えてくれる。キャプテンよりもいっぱい(ゴールを)入れようという気持ちでした」と満足そうな表情だった。

得点板を見れば139の数字が並んでいた。スコアボードは確認したが「試合に夢中で全然それは考えられてなかったです」と照れた。そのキックが決まり、大会史上最多得点更新は伊藤の右足で記録した。

憧れのキャプテン山田とは利き足が違うが「大事なポイントを教えてくれる。蹴った後に、(蹴った)右足を前に出していくことを意識しています」と先輩キッカーに感謝した。1学年上の山田を慕い、日頃から仲がいい。「いつも先輩はおちゃめ。だいぶ寄り添ってくれる。最後まで先輩とラグビーができることを楽しみたい」。キッカーのバトンを受け取る日は、まだ先にある。【真柴健】