フィギュアスケート男子で冬季五輪2連覇の羽生結弦(25=ANA)が12日、来季への意欲を示した。世界選手権(カナダ・モントリオール、16~22日)の中止決定を受けて、日本スケート連盟を通じてコメントを発表。「来シーズンに向け、今の限界の先へと行けるよう練習していきます」と表明した。来季は22年北京五輪のプレシーズン。夢の3連覇へ歩みを進めた。

今季はグランプリファイナルや全日本選手権で敗れ「内発的動機が全くなくなった」「今季つらいことがあった」など心配な言葉も残していたが、2月の4大陸選手権で平昌五輪Vのショートプログラム曲「バラード第1番」とフリー曲「SEIMEI」に回帰。男子初の主要6冠スーパースラムを達成し「続けて良かった」と安心させていた。その後、世界選手権でクワッドアクセル(4回転半)に挑戦する意向を示すなど前向きになり、来季に向けた発言も明確にした形だ。

かねて徹底している体調管理への思いも強めた。59年ぶりの中止に「あらためて新型コロナウイルスについて、ウイルス感染について考える機会ができた。このような対応がなされたからこそ、よりいっそう、注意を払って生活していかなくては」。心身を整え、目指すシームレス(継ぎ目なし)な演技を追い求める。

観客、大会関係者、国際連盟(ISU)への感謝とともに「残念ですが、感染拡大のリスクが少しでも減ったことに安堵(あんど)する気持ちもあります」と思いやったところも羽生らしい。3大会ぶりの世界一奪還こそ持ち越したが「来シーズン」の言葉さえ出れば期待は続く。【木下淳】