全国制覇58度を誇る能代工(秋田)バスケットボール部のヘッドコーチ(HC)人事で、1度は退任した形の小野秀二氏(62)がHCに復帰したことが21日までに分かった。

新型コロナウイルスの感染拡大による部活動自粛期間が明けた11日付で、佐々木信吾教諭(47)が新HCに就任していたが一転。19日からは小野氏が指揮官に戻り、佐々木教諭がコーチとしてサポートしている。わずか8日間での体制変更劇になった。

本年度着任した荒川正明校長(55)は、新型コロナがまん延する状況から「生徒の命を守る」を主眼に置いた。部員51人中47人が寮生、下宿生という事情もあり「安心安全の確率を0・1%でも高めたい」。外部指導者の小野氏よりも、生徒の部活以外の一面も把握し、他校でHC経験がある佐々木教諭が適任だと判断。そして同氏にサポート役のテクニカルアドバイザー就任を断られていた。

16日に同校で行われた部員、保護者への「指導体制変更説明会」では、生徒が涙ながらに「小野HC続投」を訴え、荒川校長は「思いは受け止めます」と再検討を示唆していた。関係職員で協議した結果、小野・佐々木体制で再始動することになったという。

荒川校長は「説明会のときに生徒が小野HCを慕う強い思いを感じました。そこまでの思いを理解できていなかった点は申し訳なかったですし、生徒の思いを尊重して変える決断をしました」。19日午前8時のミーティングで同校長から部員に発表があり、同日放課後から小野HCのもとで練習が再開されている。