B1新潟アルビレックスBBは、20-21年シーズンに向けた体制づくりを進めている。小菅学社長(46)がリーグ参戦5季目を迎えるチームについて、連載「小菅学社長のBBコラム」(毎月第1、3金曜掲載予定)で裏話を交えて紹介する。

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「お話があるのですが」。5月中旬、私に電話がありました。声の主は4季ぶりに新潟への復帰が決まった佐藤公威選手(36)。彼と話すのは、彼が島根に移籍した17年オフ以来、3年ぶりでした。「3年前のことをおわびしたいのですが…」。「それはいいよ。会って話そうよ」。

後日、久しぶりに会いました。「知らない土地で成長させていただきました」。神妙な面持ちの彼に私は答えました。「3年前のことは忘れたよ」。3年前、交渉が決裂し佐藤選手は移籍。話し合いを重ねる中、私も彼もやや感情的になり、半ばけんか別れでした。

久々に向き合った佐藤選手は落ち着いていました。私も昔のことにわだかまりはありません。それどころか、彼の言葉に胸が熱くなりました。「新潟で(選手生活の)締めくくりをしたいです」とストレートな新潟への移籍希望。そして「大好きな新潟のために頑張りたいんです」。

20-21年のチーム編成にあたって、私は「新潟のために」と戦ってくれる選手と契約したかった。新型コロナウイルスの影響で世間が不安を感じている中、「何があっても新潟のために」という強い気持ちの選手がほしかった。長岡市出身で旧bjリーグ創設時の1期生として05年に新潟に入団した佐藤選手もプロ16年目になります。一時期、心のすれ違いがあったものの、彼が新潟のことを思い続けてくれていたことがうれしかったです。

佐藤選手の言葉を聞いて福田将吾新監督(36)に相談しました。ちなみに電話をくれた時点で、佐藤選手は新監督が福田さんだということを知らなかったのです。「新監督、福田さんだよ」。「本当ですか!?」。福田さんは17年から19年まで島根のアシスタントコーチ。福田さんが島根から横浜に移ってからも、2人は連絡を取り合う仲ということでした。こんなところにも縁があったのです。

数日後、あらためて佐藤選手と会いました。「ぜひ、新潟でプレーしていただけませんか」。「学さん、何を言っているんですか。僕から話したことです。ぜひ、お願いできませんか」。距離はできても根底でつながっていた心と縁が結んだ二つ返事の契約でした。(B1新潟社長 小菅学)