関西大学ラグビーで48度の優勝を誇る、同大の伝統をかみしめる主将がいる。

フランカーの中尾泰星(4年=大分舞鶴)は、首脳陣の指名で重責を担った。28日、京都・京田辺市内で全体練習を終えると「目の前の1戦1戦を積み上げた先に日本一がある」。元日本代表監督の平尾誠二氏らを擁した84年度以来遠ざかる、大学日本一を誓った。

中尾にとって同大は、幼少時から憧れた名門だった。現副部長で父の晃氏は、主将を務めた88年度に全国4強。初戦で早大に23-17で競り勝ったが、準決勝でNO8シナリ・ラトゥ(ラトゥウィリアム志南利)氏らを擁した大東大に12-46で敗戦。その後、大東大は明大と両校優勝に至った。さらには伯父の芳門氏も主将として、86年度に4強入り。準決勝で早大に9-10と惜敗した。

中尾は03年度から同大の指揮を執った父に手を引かれ、何度もグラウンドを訪れてきた。

「ずっと憧れがありました。だからこそ(同大入学後に)1、2年と大学選手権に出られず、悔しい思いをしました。その悔しさを忘れずにやってきました」

主将就任を報告すると、父からは「そうか。覚悟を持ってやれよ」と伝えられた。コロナ禍でも自主的なランニングを続け、再開後の1キロ走では自己ベストを更新。父、伯父が届かなかった大学日本一へ、仲間を背中で引っ張っている。

「リモートでも目標の『日本一』をしつこく伝えてきました。口で言うだけではなく、日本一へ取り組む姿勢を突き詰めたいです」

関西リーグの開幕は10月10日を予定。コロナ禍で夏の実戦予定は白紙だが、やるべきことは明確だ。【松本航】