170センチの小さな巨人が、復帰の大舞台、全米テニスを引っかき回す。31日(日本時間1日)に、テニスの4大大会、全米オープン(ニューヨーク)が、無観客で開幕する。世界49位の西岡良仁(24=ミキハウス)は、1回戦で元世界王者のマリー(英国)と対戦する。

日本男子のエース、錦織圭(30)は、新型コロナに感染したことで準備が間に合わなく欠場を表明。西岡は、全米に出場する日本男子最上位の選手となった。けがからの復帰途中とはいえ、マリーは強敵だ。しかし、西岡は自身のSNSで「これ以上ない復帰戦。頑張ります」と頼もしい。

男子テニス界の四天王と呼ばれるのが、ジョコビッチ(セルビア)、ナダル(スペイン)、フェデラー(スイス)にマリーだ。マリー以外の3人とはすでに対戦経験があり、今回の対戦で「これでBIG4と呼ばれる方々と全員対戦できる」と、楽しみの方が大きい。

テニスの世界ツアーは、新型コロナウイルスの感染拡大で、3月から中断。4大大会は、5月の全仏が9月に延期となり、7月のウィンブルドンは中止となった。通常、全米は、その年最後の4大大会だが、今年は、1月の全豪に続く2番目の開催という異例の大会となる。

西岡も、直前まで「米国に行くかどうかは半々」と悩んだ。しかし、「現在の最大の目標は東京五輪出場権獲得」だ。米国の大会に世界ランキングのポイントがつけば、少しでも東京オリンピック(五輪)に近づけるためと、渡米を決意した。それでも、前哨戦は欠場し、全米一本に絞っての挑戦だ。

2月下旬のドバイ大会以来、約半年ぶりの実戦となる。170センチの身長だけに、パワーでは押せない。緩急、球種、左右上下を多様に使い、相手のリズムやタイミングを狂わすプレーが、西岡の真骨頂だ。しかし、このプレーは、試合感覚が重要。半年のブランクで、屈指の守備を誇るマリーに、どのぐらい通用するか楽しみだ。

◆WOWOW放送予定 1日午前7時50分から。WOWOWプライムおよびWOWOWライブ。同日午後11時55分から。WOWOWライブ。男女シングルス1回戦ほか。生放送。WOWOWメンバーズオンデマンドでもライブ配信。