テニスの4大大会の1つ全米オープン女子シングルスで2年ぶり2度目の優勝を果たした大坂なおみ(22=日清食品)が16日、人種差別に抗議するため試合の入場時などに着用したマスクを巡る批判について「勝つための刺激になった」とツイートし、批判が優勝の原動力になっていたことを明かした。

大坂は今大会、黒人差別が原因で犠牲となった7人の名前を刻んだ7枚のマスクを用意し、勝ち上がるたびにマスクと共に黒人差別に対する抗議メッセージを発信して話題を呼んでいた。これに対して「英雄」「力強いメッセージ」と称賛する声がある一方で、「アスリートは黙ってプレーしろ」など政治を持ち込むなとの批判もネット上では上がっていた。

大坂は、「”政治をスポーツに持ち込むな”と私に言っていた全ての人々(まったく政治的ではなかったですが)が、本当に勝ってやるという刺激になった。私はこれからあなた方が見ているテレビにできるだけ長く出るつもりだと信じた方がいいわ」と批判した人々に向けての反論をツイートした。

「大坂がアンチに感謝」と米メディアもこのツイートを伝えており、米国では優勝の原動力となった一連の抗議運動は勇気ある行為だと賛同する声が増えている。大坂は5月末に米ミネソタ州で黒人男性が白人警察官に殺害された事件を受けて世界中で沸き起こった抗議運動ブラック・ライブズ・マターに賛同する意思を示したことに対して、ネット上で批判を受けた際も「アスリートは政治を語るべきではない、ただスポーツで人を楽しませていればよいと言われるのが嫌だ」と反論していた。(ロサンゼルス=千歳香奈子)