全日本柔道連盟(全柔連)の山下泰裕会長(63)が24日、都内で取材に応じ、12月のグランドスラム(GS)東京大会(国立代々木競技場)の中止に至った経緯などを説明した。

山下氏は、来夏に延期された東京五輪の運営面のテストとしても注目されたGS東京の中止決定について「残念だが、判断は正しいと思う。GS東京の準備は、来年の東京五輪に必ずいきると思う」と述べた。

GS東京の開催は、東京五輪の機運醸成にもつながり、国や組織委員会などとも前向きに準備を進めてきた。しかし、国際柔道連盟(IJF)のビゼール会長から新型コロナウイルスの感染を考慮して、来春への「延期」を通告された。毎年4月には、全日本選抜体重別選手権(福岡)や体重無差別で争う全日本選手権などを控えており、会場や日程などの問題で延期は困難と判断し、最終的に中止が決まったという。「ビゼール会長の『柔道とアスリートを守る』という考えも強かった。もし、万が一のことが起きたら、東京五輪に与える影響も大きかった」と理解を示した。

日本オリンピック委員会(JOC)の会長も兼任する山下氏は「何としても、私は21年に(五輪が)できるとずっと思っている。形は通常と違っても、今はそこに向けて『できる』と機運を盛り上げるのは我々の仕事。全柔連の中でも、GS東京開催の思い入れが一番強かったのも私だと思う。外国選手の受け入れや安全対策など最終的に努力してダメなら仕方ないが、最初から『できない』はない。そうなると、来夏も『できない』と機運を下げることになる。(GS東京中止は)アクセルを踏んでいたところに急ブレーキがかかった感じだが、全力でやった結果」と熱く語った。