こんな歴史に残るタフマッチは、もう全仏でしか起こらないだろう。大会2日目の28日、男子シングルス1回戦で、大会史上2番目に長い試合時間6時間5分の大激戦が行われた。予選勝者で世界ランキング157位のジウスティノ(イタリア)が、同71位のムーテ(フランス)を0-6、7-6、7-6、2-6、18-16で下した。大会最長は04年1回戦、サントロ(フランス)がクレモン(フランス)を下した6時間33分。それに続く2度目の6時間超えとなった。

ジウスティノは、今年の全豪で初めて4大大会本戦でプレーし、全仏は本戦初出場だ。3セット試合で最終セットはタイブレークがある予選でも、1回戦が最終セット・タイブレーク。同2回戦は最終セット7-5の接戦を制して勝ち上がってきた。勝った瞬間、「信じられないような試合だった」と、コート上に大の字で倒れ込んだ。

最終セットだけで3時間の激戦で、これは現在、全仏でしかあり得ない死闘となる。最終セットにタイブレークや制限がなく、2ゲーム差をつけるまで行うのは、4大大会の中で、今となっては全仏がただ1つの大会だ。ジウスティノは最終セットの試合中、「タイブレークがないと知ったとき、まじって思ったよ」。

テニスは、元々、タイブレークがなく、セットを取るためには、6ゲーム先取か、5オール以降は、相手に2ゲーム差をつけるのが規則だった。しかし、これでは、試合が延々と続き、いつ終わるのかも分からない。

プロ化が進み、大会がテレビ放映され、興行となると、試合時間が不明で、長時間なのは、最も嫌われる。そこでタイブレークが生まれ、全米は70年に最終セットに採用した。遅れること約50年。19年から全豪は最終セット6ゲームオール後に10点先取タイブレークの使用を決めた。同年、ウィンブルドンは最終セット12ゲームオール後に、タイブレークを採用した。

 

▼各4大大会男子シングルスの最長試合

○全豪 5時間53分 12年決勝 ジョコビッチ(セルビア) 5-7、6-4、6-2、6-7、7-5 ナダル(スペイン)

○全仏 6時間33分 04年1回戦 サントロ(フランス) 6-4、6-3、6-7、3-6、16-14 クレモン(フランス)

○ウィンブルドン 11時間5分 10年1回戦 イスナー(米国) 6-4、3-6、6-7、7-6、70-68 マユ(フランス)

○全米 5時間26分 92年準決勝 エドベリ(スウェーデン) 6-7、7-5、7-6、5-7、6-4 チャン(米国)

◆全仏オープンテニスは、9月27日から、WOWOWで連日生中継。また、WOWOWメンバーズオンデマンドでも配信中。