世界10位、大谷桃子(25=かんぽ生命)の全仏初出場、4大大会初優勝の快挙はならなかった。4大大会のシングルスで、史上初めて実現した日本選手同士の決勝で、同2位の上地結衣(26=三井住友銀行)に2-6、1-6の57分で完敗した。

悔しさがにじみ出た。「上地選手のペースになってしまい、自分のプレーに戻すことができなかった」。準決勝で同1位のデフロートを破った勢いで挑んだが、わずか3ゲームしか奪えなかった。「これが今の実力」と、完敗を認めた。

高校までは、一般のテニスをプレーし、栃木・作新学院高3年時には、高校総体の個人ダブルスに出場した実力を持つ。しかし、高校卒業後、足にまひが起こり、車いすの生活を余儀なくされた。西九州大(佐賀)に進学後、車いすテニスを始めたが、一般テニスの経験が役にも立つが、足を引っ張ることもある。

役に立つのは「ボールを打つ感覚があること」だ。しかし、車いすテニスになって、グリップの握り方は一般のテニスの時と完全に変えた。また、一般ではバックは両手打ちだったが、車いすテニスでは片手打ちで、「今でも、まだしっくり打てないことがある」。

それでも、車いすテニスを初めて、まだ4年だ。上地に表彰式で、「パラリンピックの決勝を2人で戦おう」と言われると「本当に嬉しい」とはにかんだ。来年に延期された東京パラリンピックでの日本女子同士の決勝も夢ではなくなった。

 

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