開志国際が3年ぶり2度目の決勝進出を決めた。シーソーゲームの末、北越に13-12で競り勝った。前半終了間際に先制のペナルティーゴール(PG)を決めたニュージーランドからの留学生、FBサポイ・ビリアミ(3年)が10-12の後半28分に逆転のPGを成功、チームを決勝に導いた。17大会連続45回目の優勝を狙う新潟工は67-5で新発田南に圧勝。決勝は31日、デンカビッグスワンスタジアムで行われる。

淡々とした表情でゴールポストを見据えたサポイが、右足を振り抜いた。逆転がかかった後半28分のPG。ゴール左寄りの位置は、前半終了間際に先制のPGを決めた角度。ゴールポストの間をボールが通り抜けると、開志国際ベンチから歓声が上がる。

「めっちゃ緊張した」。落ち着いた表情とは裏腹にサポイの鼓動は高鳴っていた。「ビリー(サポイ)なら絶対に決めてくれる」。ゲーム主将のFW杉崎遼(3年)が言うチーム全員の期待を背負った1本。普段からPGの練習には1時間以上かけた。ゴールが決まると「気持ち良かった」と緊張が喜びに変わった。

グラウンドは試合開始前からの雨でぬれた状態。持ち味の外への展開が思うようにできなかった。北越のFW戦に苦しみ、幾度となく自陣にくぎ付けになった。後半の立ち上がりに1トライ1ゴールで10-0とリードを広げたが、その後に2トライ1ゴールを奪われ、流れを渡しかけた。

それでも「前へ出る練習はしてきた」(杉崎)とボールを手にすると、すぐに攻撃に移った。高橋昌徳監督(41)は「敵陣でラグビーができれば得点できる」と選手の底力を買っていた。9月以降、東福岡を全国3連覇に導いた実績を持つ谷崎重幸監督(62)が率いる新潟食農大と週2、3回、合同練習や練習試合を重ねた。大学生相手に磨いた試合感覚も終盤の粘りの土台にあった。

チームは3年ぶり決勝で、18年に就任した高橋監督と現メンバーには初の決勝進出となる。相手は“絶対王者”新潟工。杉崎は「緊張すると思うが、やってきたことをやる」。サポイは「私たちのラグビーをしたい」。全力で初の頂点に挑む。【斎藤慎一郎】