ラグビーで悲願の日本一を目指す京産大(関西3位)が13日、全国大学選手権3回戦(花園ラグビー場)で慶大(関東対抗戦3位)と戦う。

11日はメンバーが発表され、フランカー三木皓正(こうせい、1年)の先発が決定。慶大は兄亮弥(4年)がCTBで先発となり「関東の大学はしぶとくて強い。タックルをひたむきにやるだけ」と兄弟対決に闘志を燃やした。

慶大は特別な相手だ。京都成章高で主将を務めた昨年、兄の背中を追って受験したAO入試で不合格。高校の湯浅泰正監督に「行くところが全てじゃない。行ったところでどうなるかだ」と諭された。父康司さんはかつて京産大のNO8で活躍。4年だった90年に関西リーグ初優勝、大学選手権も準決勝に進んだ。明大に15-29で敗れたが観衆6万人の国立競技場を駆け抜けた。「慶応じゃなくても日本一になれる」。そう決心し、父の母校へ進んだ。

この日は京都市内で調整し、武器のタックルを繰り返した。ロック田中利輝主将(4年)も「彼のプレーがチームに勇気を与えている。『すごい』という一言」と評す。今大会は新型コロナウイルスの集団感染で同大が辞退し、関西勢は優勝した天理大、京産大の2校だけ。慶大は「魂のタックル」を誇る伝統校。関西の意地を胸に80分間で全てを出し尽くす。【松本航】

▼京産大は新型コロナウイルス感染防止に細心の注意を払う。8月の練習再開後は、2人で使用してきた寮を1人部屋に変更。繁華街への出入り、帰省にも制限がある。鍋を囲んで体作りと結束を強める、数十年続く恒例の「栄養合宿」も自粛。元日本代表の元木由記雄GMは「窮屈ですが(感染者が)出たら一番辛いのは選手」。同大が辞退する一報を受けて、田中主将は「選手権に出られることに感謝しないといけない」と思いをかみしめた。