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今日の1枚

日刊スポーツが蓄積してきた写真の中から厳選して紹介します。

2020年12月25日
2020年12月25日

20年12月25日、全日本フィギュアスケート選手権・女子SPで演技をする坂本花織(代表撮影)。


今日の出来事

ソルトレークシティ五輪代表の恩田美栄(19=東海学園大)が長野県野辺山での全日本合宿で、トリプルアクセルを成功させた。(2002年)

昨年末のGPファイナル(カナダ)練習以来、自身2度目で国内では初。五輪本番でも恩田以外に挑戦する選手はいないとみられており、92年アルベールビル大会の伊藤みどりさん以来、10年ぶり2人目の快挙が見えてきた。

自由演技の曲がかかり、最初のジャンプ。恩田が思い切り跳んだ。軸のぶれない回転。着氷でわずかによろけたものの、右足で耐えた。リンクサイドの山田満知子コーチと城田憲子監督が思わず拍手。大げさに言えば日本スケート界の「歴史的瞬間」だった。

「びっくりしました。曲に乗って成功したのは初めてです」。恩田は息を弾ませて言った。カナダで初めて成功したときは、複数の選手が滑る自由練習中。曲に合わせて回りきったことに価値がある。

21世紀版「ジャンプの申し子」だ。五輪選手で3回転半に挑戦するのは、尊敬する先輩の伊藤みどりさん以来のこと。スルツカヤ(ロシア)やクワン(米国)といった金メダル候補も、この大技は演技に組み込まない。失敗して転倒となるリスクが大き過ぎるからだ。過去の五輪で挑戦したのは伊藤さんだけという事実が、難度の高さを物語る。

あえて挑むのはなぜか。「初めはいやだったんです。でも今はアクセルにこだわりたい」。昨夏、カナダで合宿をした際に外国の若い選手の練習を見て「挑戦する心をもらった」という。シーズン前に3回転半へのチャレンジを決心した。今は跳ぶことが楽しい。

1度目は「いつもと違う感覚。未知の世界」と表現した。しかし2度目の成功は、もう体が技を覚えたといえる。「この感触を忘れないように練習したい」。世界に恩田の名前を残す舞台が、いよいよ迫ってきた。