第100回全国高校ラグビー大会は9日、大阪・花園ラグビー場で決勝戦を行う。両校は8日、リモート取材に応じ、決勝への意気込みを語った。初優勝を狙う京都成章は昨年度大会覇者・桐蔭学園(神奈川)攻略へ、伝統の“ピラニアタックル”の出来がカギだ。今年度の新たなモットーは、タックル後すぐに立ち、寝ている選手が1人もいない「グラウンド・ゼロ」。京都勢として05年度伏見工(現京都工学院)以来の全国制覇へ。殺到するのは数匹ではない。15匹のピラニアが強豪に食らいつく。

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決勝進出は3大会連続8度目で、狙いは連覇-。桐蔭学園は、初の決勝に臨む京都成章にすれば格上だ。湯浅泰正監督(56)も「展開を考えると、苦しい時間が増えるでしょうね」と予想した。主将2人体制のうちの1人、FB辻野は言う。「成章らしいディフェンスをして、相手のミスをトライにつなげたいです」-。お家芸のピラニアタックルからターンオーバーで流れをつかむ。

監督歴34年目の指揮官が「ハンドリング、スキルじゃ他校にかなわない」と就任時からこだわったのが、タックルだ。01年度から花園4連覇した啓光学園(現常翔啓光)。その数的優位を作る守りが「大好き」で映像を集め、編集し、チームに落とし込み、ボールを持った相手に群がり、食いついたら絶対に離さないタックルは根付いてきた。現チームはそれをさらに徹底。湯浅監督は「タックルいった後も寝てるもんが誰もおらんように」と「グラウンド・ゼロ」という造語を作った。例えば10人で守るより15人全員で守った方が強固になるという理屈だ。

もう1人の主将、SH宮尾は「成章に入る前から知っていた」というピラニアタックルを「見てるとみんな、しんどそうやけど、楽しそう」と表現する。“ジャイアン”こと193センチの巨漢ロック本橋は「勝つためなら、泥臭いことでも何でもやります」と大一番にかけるフィフティーンの思いを代弁する。

かつて花園で1度だけ97回大会(17年度)準々決勝で戦い、14-36と敗れた強豪に挑戦者たちが15人全員で牙をむく。【加藤裕一】

○…京都成章は、勝てば京都勢では15度目の頂点、同志社中、京都一商、伏見工(現京都工学院)に続く4校目の優勝になる。湯浅監督は「京都は歴史あるチームが多いですからね」と置かれた立場を認識しつつ「でも、それも大事だけど、僕としては“今”を大事にしてやりたい」。京都代表というより、京都成章の部員として戦う。「僕が今、気負いがなく、自然体なんも、そういう考えやからと思います」と話した。