東京オリンピック(五輪)で女子シングルス代表の石川佳純(27=全農)が涙の優勝を飾った。

同代表の伊藤美誠(20=スターツ)を熱戦の末に4-3で下し、5年ぶり5度目の優勝を果たすと、涙を流した。

優勝インタビューでは「苦しい試合になることは最初から分かっていた。“あきらめずに”と自分に言い聞かせた。“思いっきりやりなよ”と」と話した。5年ぶりの優勝について聞かれると、再び涙を流し「うれしいです。たくさんの人に感謝したいです」と感慨深げに言った。

第1ゲームは4-11であっさりと落とすも、第2ゲームを11-7で取り戻す。ゲームカウント1-3で後がなくなってから3ゲームを連取し、女王の座に返り咲いた。

ともに東京五輪でシングルス、団体戦を戦う仲間。新型コロナウイルスで五輪開催への風当たりが強まるが石川は「選手としては開催してほしい。五輪の舞台で戦いたい。全てを懸けてきたので『開催しなかったらしょうがない』とは声を大にしては言えない」と語っていた。

昨年11月、日本で行われた体操の国際大会で五輪金メダリストの内村航平が「できないじゃなく、どうやったらできるかを考えて」と発言し、大きな話題を呼んだ。そのメッセージを見て「ニュースで見た。内村さんは実績もあって発言するのはすごく勇気がいると思う。それでも言ってくれて、見ていた私は選手として力をもらったし『そうだよね、言っていいよね』と思えた。あの勇気、すばらしいと思った」と語っていた。

五輪代表の誇りをかけ、石川と伊藤はともに日本最高峰の技術をぶつけ合った。この熱戦が日本中にスポーツの力を示すメッセージとなることを信じて、2人は274センチ×152・5センチの卓球台の間で相対していた。【三須一紀】