女子は16歳の中山和(なごみ、下川商高1年)がシニア初優勝を飾った。1回目115メートルで2位につけると、2回目は119・5メートルを飛び逆転。大会史上3人目の高校生女王の座を射止め「大人の大会で初めて優勝できてとてもうれしい」と笑顔を見せた。

憧れの伊藤有希(26=土屋ホーム)と同じ高校生で優勝者に名を連ねた。慣れないテレビインタビューに「ジャンプより緊張しました」。母真理さん(51)妹碧さん(11)から「頑張って」と声を掛けられ、照れくさそうに喜びを語った。

競技との出会いは札幌上野幌小5年。家族に競技経験者はいなかったが、真理さんから体験会のチラシを見せられ「スキーは好きだったので」と気軽に参加した。ジャンプの魅力にはまると「しっかりしたコーチがいるし、冬は毎日飛べるから」と、小学卒業後は競技環境の整った下川町に単身で移り住んだ。

夢は大きく「オリンピックで金メダルを取ること」。7日の高校総体(長野、公開競技)で優勝し、11日の雪印メグミルク杯でも6位。コロナ禍でも夏場は1日10キロのランニングを重ね、体幹も鍛えた。飛び出しで前傾ぎみに体を倒せるようになったことが、今季の好調につながっている。

故郷を離れた後も毎日のように連絡を取り合い、長期休暇には手作りのケーキを振る舞う家族思いの女子高生。その家族の前で、ラージヒル初優勝も果たした。中山は「もっと上を目指して頑張っていきたい」。視線は常に未来に向いている。【浅水友輝】

◆中山和(なかやま・なごみ)2004年(平16)7月26日、札幌市生まれ。札幌上野幌小5年で競技を始める。下川中2年でラージヒルを初めて飛ぶ。下川商1年の総体優勝。趣味は漫画を読むこと。好きな食べ物は母真理さんが作る窯焼きのゴボウピザ。156センチ、47キロ。家族は両親と兄、妹。