SPで2位につけた紀平梨花(18=トヨタ自動車)が、日本女子史上最高のジャンプ構成で逆転初優勝を目指す。首位のアンナ・シェルバコワ(ロシア連盟)とは1・92点差。昨年12月の全日本選手権で回避した3回転ルッツを最終盤に入れ、状況次第では4回転サルコーにトリプルアクセル(3回転半)2本を組み込む可能性がある。坂本花織(シスメックス)は6位、宮原知子(関大)が16位。フリーは26日(日本時間27日)に行われ、22年北京五輪の最大3枠獲得を狙う。

   ◇   ◇   ◇

最終滑走の重圧から解き放たれた紀平に、慢心はなかった。3回転半など3つのジャンプを着氷させ、スピン、ステップで最高のレベル4をそろえて演技を終えても「まだまだ自信を持てる状況じゃない」。余韻に浸ろうとせず、フリーのジャンプ構成に言及した。

「ラストに(3回転)ルッツ、(4回転)サルコーも入れる予定です。トリプルアクセルが1本か2本かは、まだ決めていません」

記憶に新しい昨年末の全日本選手権。4回転サルコーを初めて決めた喜びの裏で、演技最終盤をダブルアクセル(2回転半)にとどめていた。昨季前半に左足首を痛め、シーズンの大半でルッツを回避。今季初戦となった同戦も無理はしなかったが、今回は「アイシングをしたりして、何とか頑張りたい」と誓った。首位シェルバコワと1・92点差の状況で、基礎点2・86点の上積みは貴重になる。

常に最大限の力を出せるのは、トップ選手の必須条件。紀平の場合、それが昨季に証明されていた。浜田美栄コーチ(61)はかねて「梨花ちゃんのフリップは世界一、上手だと思う」と明かした。左足のエッジ(刃)の外側に体重を乗せるルッツ。一方でフリップはそれが左足の内側となり、左足の使い方が正確でなければ減点の対象となる。同コーチは「最後の最後まで内側、外側のエッジを使い分けられる。それが曖昧で同じ跳び方だったら、足首が痛い時に両方跳べなかったはずです」と分析する。

ノービス(ジュニアの下のカテゴリー)時代に1年間、フリップを試合の構成から外した。正しい跳び方を繰り返した、地道な練習が現在の糧となる。

状況次第で3回転半2本も視野に入れるフリー。高難度の構成にも「ノーミスの演技を目指して頑張りたい」と誓った。紀平は完成度で勝負する。【松本航】

女子フィギュアSP詳細はこちら―>

男子フィギュアSP詳細はこちら―>