2年に1度の団体戦が開幕した。男子の羽生結弦(26=ANA)ら日本が17年以来2大会ぶり3度目の優勝を目指す6カ国対抗。会場の観客収容人数は、新型コロナウイルス感染症対策のため50%が上限となっており、連日の来場者は約3000人となっている。

有観客で行われた昨年11月のNHK杯(東和薬品RACTABドーム)や同12月の全日本選手権(ビッグハット)と同様、フィジカルディスタンスを保つため1席空けて着席する形。それが今回、演技のライブ配信やテレビ放送に映り込むアリーナ席が“満席”に見える。確かめると、写真。間引きされた席に飾られることで空席を埋めている。

これは、大会中継局テレビ朝日の委託を受けた業者が期間限定で販売していた「応援パネル」。1枚3800円で8日まで売り出されていた。商品サイトには以下の説明がある。

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フィギュアスケート国別対抗戦の会場を応援パネルで埋め尽くせ!

離れた場所から手作りの応援ボードで選手へエールを届けよう!

新型コロナウイルス感染防止のため観客動員数を制限しての開催となるフィギュアスケート国別対抗戦。

ファンの皆さまのお写真・メッセージで選手たちに声援を送る「応援パネル」を観客席に掲出致します。

2年に1度フィギュアスケート最強国を決める戦い。皆さまの熱い想いをのせた「応援パネル」で盛り上げましょう!

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好きな選手の名前や応援メッセージなどを記載した紙と写真申し込むと、応援パネルが作成され、会場に掲出される仕組みだ。感染予防のため、遠方のため、高倍率のチケット抽選に外れた人のため…。さまざまな事情で会場に足を運べないファンが“現地応援”しるかのような空間になる。

応援パネルは、この日午前から設置が始まり、開場前のスタンドを少しずつ埋めていった。男子の公式練習中には、飾られたものに羽生が目を向け、客席を見渡す場面もあった。

購入者には、顔写真が映り込むことへの了承が求められる。一方で、人ではなく愛するペットでも写真掲載は可能なため、犬や猫のパネルも目立った。海外から来日した選手にも好評なようで、アイスダンス女子のアデリナ・ガリアビエバ(フランス)は「お客さまの前で演技ができたことに何よりワクワクしました。入ってすぐ、人がいるのはすごいことです。あとは犬とか猫の写真も見られて良かったです」と笑顔になった。

事務局によると、このパネルは約300枚が販売された。売り上げについては「経費を除いた収益は、全て大会の新型コロナウイルス感染対策費用に充てさせていただきます」と明記されている。感染者が1日1000人を超えるなど、感染拡大が続き、まん延防止等重点措置が適用されている大阪府での開催。画面に映り、ちょっと気になるパネルの正体は、実施の一助になる試みとして大会を盛り上げていた。【木下淳】