坂本花織(21=シスメックス)が2季取り組んできた「マトリックス」で有終の美を飾った。

自己ベストを3・59点上回る150・29点で2位。演技後は両手をあげ、とびはね「正直、現地入りしてから疲労がたまっていました。『最後に笑顔で終わりたい』と思って、コンディションとかもぶっ壊したみたいな状態で、本能のままにやったっていう感じです」と笑った。

冒頭のダブルアクセル(2回転半ジャンプ)の出来栄えは、ジャッジ7人中2人が最高の5点、5人が4点を記す会心の跳躍。得点源となるフリップ-トーループの連続3回転も決め、演技構成点は5項目中4項目で9点台(最高は10点)を記録した。今季限りを予定する「マトリックス」には、特別な思いがあった。

「正直、最初の1年はきつかった。きつさは2年間、変わらなかったんですけれど、今シーズンは、ジャンプも全部成功させられた。1年目より、2年目の方が楽しくできました」

トリプルアクセル(3回転半)や4回転の大技がなくても、フリーで3回転半2本を組み込む3位トゥクタミシェワ(ロシア)を上回った。来季はそこに4回転を入れる意向を持つ。

「五輪シーズンなので攻めて、攻めて、攻めまくりたいと思っています」

NHK杯でグランプリ(GP)シリーズ初優勝を飾ったシーズン。22年北京五輪が控える勝負の来季へ、1年を最高の笑顔で締めくくった。【松本航】