米バスケットボールNBAのラプターズと本契約を結んだ渡辺雄太(26)が20日(日本時間21日)、オンラインで報道対応し、喜びを口にした。東京五輪に臨む日本代表でも、ウィザーズの八村塁と並ぶ中心的存在。今回の契約に至るまでの道のりや、「お金」への考え、そして自らがNBAで挑戦を続けていく意義についても語った。

   ◇   ◇   ◇

チーム練習後に行われたオンライン取材。質問者が入れ替わるたび、画面越しに英語や日本語で「おめでとう」と声を掛けられ、渡辺はにこやかに「ありがとうございます」と繰り返した。日本選手のNBA本契約は田臥勇太(当時サンズ、現B1宇都宮)、八村塁(ウィザーズ)に続いて3人目。「目に見える結果をもらえてありがたいし、モチベーションにもなる。素直に喜んで良いかな」。晴れやかな表情に、充実感が漂った。

NBA3年目を迎えた今季、徐々にプレー時間を伸ばしてきた。本契約間近とも思われたが、けがの影響もあって2月以降は出番が減った。ターニングポイントは2日のウォリアーズ戦。「久しぶりに長い時間使ってもらい、苦手だったリング周りのプレーもできた。あの試合が好調のきっかけになった」と振り返る。

チームは年俸などの詳細を明らかにしていないが、ツーウエー契約に比べてサラリーは大幅にアップした。そのことについて尋ねられると、「もともと、それほどお金を使わないし、物欲もない。お金を得たから何を買おうとは考えていない」と、にこやかに対応。とはいえプロの世界では金銭面での評価は指標の1つになるとの認識も示し、「こういう世界なので、お金が上がれば評価も上がった、自分が評価されたと受け取っていいかなと思う」とうなずいた。

東京五輪での活躍も期待される日本の星は、自らが最高峰の舞台に立ち続ける意義も自覚している。「僕や塁がプレーすることで、NBAをより身近に感じてもらえれば。僕はここで生き残るためにやっているが、結果として、子どもたちのモチベーションになれば」。挑戦を重ねるその姿は、次世代への道しるべとなる。

◆渡辺雄太(わたなべ・ゆうた)1994年(平6)10月13日生まれ、香川県三木町出身。香川・尽誠学園高時代には全国高校選抜優勝大会で11年から2年連続準優勝。米ジョージ・ワシントン大を卒業後、18年にグリズリーズと「ツーウエー契約」を結び、18年10月27日のサンズ戦でNBAデビュー。今季からラプターズに加入した。さまざまな役割をこなせるオールラウンダー。206センチ、93キロ。