レスリングの東京オリンピック(五輪)世界最終予選(5月6-9日、ブルガリア)に出場する男子フリースタイル57キロ級で、17年世界選手権金メダルの高橋侑希(27=山梨学院大職)が21日、オンライン取材に応じ、「伝統の軽量級は(これまでも)メダルを獲得している。責任感を持ちつつ頑張るが、気楽に自分のレスリングをしたい。調整をしっかりすれば、1位はいける」と自信をのぞかせた。

今月上旬のアジア予選(カザフスタン)でリオデジャネイロ五輪銀メダリストの樋口黎(ミキハウス)が計量に失格し、派遣が決まった。上位2位に与えられる五輪出場枠を獲得した場合は、樋口とのプレーオフで五輪代表が決まる。不利な状況ではあるが「道が開けた方が大きい」と明るく話した。

五輪代表内定の可能性があった19年世界選手権で五輪切符を逃し、同年12月の全日本選手権で樋口に惜敗。アジア予選代表の座を譲り、そこにコロナ禍が重なった。樋口が上位2人に入れば、五輪代表の夢が消えるなか、1年以上も目標が定めにくい環境に置かれた。「出られるかどうか分からない、気持ちが入らない。その中で気が抜けているなという部分が増えていた」と素直に振り返る。ただ、「可能性はゼロとは言われてない。何が起こるかわからない。最後まであきらめずにやってました」と地道に練習は続けてきた。

樋口の計量失格で舞い込んだ最終予選出場権だが、「準備はするのが当然。それまで普通にやっていたわけではない。頭の中にあった。調整はスムーズにいっています」と不安なしを強調した。

リオ五輪代表争いでは、前年の世界選手権で代表権を取れず、同年の全日本選手権で樋口に敗れ、その樋口がアジア予選を勝ちきり、五輪で銀メダルを手にした。それから5年。樋口はアジア予選で敗れ、リオの時にはつながらなかった道は開けた。「最終目標」という母国での五輪へ、チャンスはもう逃がさない。