2020-21年シーズン限りで現役引退したラグビー元日本代表FBの五郎丸歩氏(35=ヤマハ発動機)が14日、浜松市内で引退会見を行った。

開幕前の昨年12月に第一線から退くことを表明。今年4月のトップリーグ・プレーオフトーナメント2回戦でクボタに敗れ、正式に現役最後のシーズンを終えてからは初の会見で競技人生を振り返った。

ヤマハが、22年開幕の新リーグに向けて立ち上げる新クラブ。そこに残り「マネジメント」の道に進むことを表明した五郎丸氏は、ヤマハでの激動の人生や15年ワールドカップ(W杯)イングランド大会、日本代表のスターに上り詰めた地である静岡への感謝を口にした。

「08年のリーマン・ショック以降、それまではプロ契約でしたが(社業にも取り組む必要がある)社員契約になりました。広報宣伝部にお世話になりながら活動を継続してきました。その時、ラグビー部も存続の危機にあったわけですが、クラブの魅力、自分たちの価値を最大限、世の中に出していくことが我々が存続するための唯一の道だったので、社業もプレーも全力でやりました」

「そうして15年(W杯)を迎えたわけですが、個人ではなく、日本ラグビー界のラストチャンスとしてW杯に臨み、19年(日本大会)に向けては15年を成功させないと厳しいという個人の認識もありましたし、日本代表としての責任も感じながらプレーできました」と語った。

静岡県への思いについては「このチームを選んだのは大学1年の終わりだったと記憶しています。大学時代は勝つことが宿命づけられたチーム(早大)に所属していたので、社会人では優勝したことのないチームで、ともに成長していきたいなと思って、この静岡の地にやってきました。静岡の方と日本一をつかんだ15年の日本選手権は記憶に残っていますし、静岡の方々への感謝の気持ちでいっぱいです。海が近いので休みの日には釣りへ行ったり、仲間とゴルフしたり、本当に人間らしく生活させてもらった」と笑顔を見せた。