19年ジュニアGPファイナル王者の佐藤駿(17=フジ・コーポレーション)の記録は80・52点だった。

前日21日の公式練習中に転倒。左肩を強打し、固定してアイシングしながらリンクを後にして精密検査を受けていた。結果は大事には至らず、この日も出場。直前の6分間練習では左肩を触って気にするそぶりを見せていたが、やはり本調子ではなかったのか、ミスが出た。

冒頭の4回転トーループ-3回転トーループは2本目が回り切れず。しかし、続く大技の4回転ルッツは見事に着氷。痛みを抱えながら意地を見せたが、最後のトリプルアクセル(3回転半ジャンプ)で転んだ。

演技が終わり、得点を待つキス・アンド・クライではガクッと下を向き、悔しさというより痛みをこらえているような姿を見せた。

試合後、左肩の状況について「左の肩鎖関節を痛めたという診断でした」と説明。「90度より上にすると痛みが出るので、あまり動かなかった。でも、お医者さんがいいと言ったので大丈夫かなと。棄権する考えもあったけど、ここまで来て出ないわけにもいかないし、全てを無駄にするわけにはいかない。覚悟を決めて頑張りました。構成を落とす話もあったけど、落としたところで上位には行けない。4回転ルッツは外せなかった」。患部の不安をやわらげるため痛み止めも服用した中で、決断の裏側も明らかにした。

ジャンプの失敗については、負傷の影響で「練習で昨日、今日と3回転半と4回転ジャンプを跳べなかったので、自分のペースでできなかった。それがミスにつながったのかなと思います」と説明。22年北京オリンピック(五輪)テスト大会のアジアンオープントロフィー(中国)からの中0週の転戦となったが「流れは良かった」と準備には自信を見せた。

5位で迎える23日(日本時間24日)のフリーにも出場予定。「試合になったらアドレナリンが出た。今季初めての試合で、すごく出たい気持ちも強い。明日も最後まで全力で滑り切りたいなと思っています」と力を込めていた。【木下淳】