女子3位の樋口新葉(20=明大/ノエビア)が第2部に登場し「プリマベーラ」を厳かに舞った。今季ショートプログラム(SP)に採用する可能性があった曲の世界観に合わせ、ダブルアクセル(2回転半)や滑らかなステップで魅了。「メルシー」の場内アナウンスに笑顔を見せた。

今大会は、自己ベストを更新する演技でSP6位から総合3位と巻き返した。トリプルアクセル(3回転半)を着氷して141・04点の合計204・91点。演技を終えた直後のガッツポーズが印象的だった。

SPでは3回転半の予定が1回転半に終わった冒頭の大技をフリーでは決め、今大会も修正力の高さを示した。新型コロナウイルス感染拡大の影響で変則開催となった昨季のNHK杯(2位)を除けば17年の中国杯(2位)以来4季ぶりとなる表彰台に立ち、このエキシビションに招かれた。

一夜明けて取材に応じ「フリーはまあまあな演技ができたけど、細かいミスがあったりとか、いろいろとマイナスを取られた部分があった。まだまだ改善点があった」と課題と伸びしろを実感。「あとはSPで1A(1回転半)になったところを意地でも2A(2回転半)になるように練習していきたい」と、仮に3A(3回転半)が乱れたとしても切り替えられる強さを突き詰めていく。

もちろんSP、フリーともに大技をそろえることが理想だ。4年前は届かなかった大舞台、目指す22年北京五輪(オリンピック)の日本代表最終選考会を兼ねた全日本選手権(12月22~26日、さいたまスーパーアリーナ)が、いよいよ次戦となる。帰国後は隔離期間も有効活用し、決戦へ。今は「その前に電池が切れたような感じで終わってしまった」と悔やむ17年とは違う、調整の手応えを感じている。【松本愛香通信員】