北京オリンピック(五輪)への批判をかわすためなのか。IOCは21日(日本時間22日)、公式ホームページで、消息不明とされる中国女子テニス選手の彭帥(35)と、バッハ会長がオンライン通話を行ったと明かし、当時の映像も公開した。

通話は30分で、冒頭に、彭帥は「安全を心配してくれたIOCに感謝したい」と述べたという。そして、「北京の自宅で過ごしており、今はプライベートを尊重してほしい。大好きなテニスは続けていく」と話したという。

彭帥は、同国の張高麗元副首相に性的関係を強要され、不倫関係であったことを2日に自身のSNSで公表。その後、世界の女子テニスツアーを統括するWTA(女子テニス協会)は、彭帥と連絡が取れなくなったとして、14日、サイモンWTA会長は「徹底的な公正で透明な調査を求める」と声明を出していた。

彭帥が活動するWTAの会長はいまだに、ライブでの1対1での連絡が取れていない。そこへ、突然、IOCバッハ会長がコンタクトを取ったというニュースが流れた。IOCは、この半月ほど、静観していたはずだが、いきなり収拾に動き始めた。

来年2月には、北京で冬季五輪が行われる。米国や英国は、中国の人権問題を背景に、外交的ボイコットを示唆しており、IOCとしては、五輪開催に向けては彭帥問題は目の上のたんこぶ。何事もなかったことを強調することで、早期の幕引きを図りたいとするIOCと中国の方針が手を組んだとも思えるニュース。真に選手の安全を考慮したかどうかは疑問が残る。

オンライン通話には、IOC選手委員会のテルホ委員長も参加。「元気そうな姿を見られて安心した」と話した。選手委員会は、彭帥の安全を最優先する声明を出していた。