昨季の国内ジュニア3冠女王で、今季シニア転向1年目の松生理乃(17=中京大中京高)が62・98点の7位で発進した。

樋口美穂子コーチに笑顔で送り出された冒頭、まず挑んだジャンプは3回転ルッツ-2回転トーループと予定の2連続3回転とはならなかったが、ダブルアクセル(2回転半)と3回転ループは成功。第4戦NHK杯(12~14日)の前に右足首を痛めた影響もあってか、コンビネーションを最初に持ってきたが「会場の雰囲気を楽しんで滑ることができたので、そこはすごく良かった」と強調した。演技を終えた瞬間の樋口コーチも笑顔だった。

一方で「最初のジャンプが思うように跳べなかったのが悔しいです」と反省も忘れなかった。負傷の影響については「今は、だいぶ良くなってきていて。トーを突いても痛みが減ってきていますし、けがの影響ではなく、しっかりと体を合わせられなかったり、気持ちの問題」と気丈に否定した。

ロシアの地で、世界最強の同国勢について印象を聞かれると「トリプルアクセル(3回転半)や4回転ジャンプを跳ぶ選手が多いので、すごいです」。反対に自身は「少し前に負傷してしまった影響で(大技を)跳べていないので、早く練習をして跳べるようにならないといけないな、と思いました」と悔しがった。

海外メディアから、ロシア選手との同じ大会で競うことについて、誰かと会話したか質問されると「トップクラスの選手ばかりで、一緒の試合に出ることができるのは光栄。トルソワ選手はジャンプがすごいですし、ワリエワ選手はジャンプがキレイで脚の柔軟性もすごい。トゥクタミシェワ選手は表現面が超越しています。どの選手ともまだ会話したりはできていないんですけど、この大会中に話せたらいいな、と思っています」と笑顔を見せた。

浅田真央さんに憧れてスケートを始め、その浅田さんがフリーで伝説の演技を披露した14年ソチ五輪(オリンピック)の舞台に立った。「憧れの浅田さんが、憧れの試合をしたソチの会場。同じリンクで滑らせていただけるということで、すごくドキドキ、ワクワクしました」と、また笑みをこぼした。これまで何度も映像で見返してきたアイスベルク・パレスに力をもらい、フリーで7位から巻き返す。病み上がりなりのベストを尽くす。【木下淳】