アマチュア相撲の日本一を決める全日本選手権が5日、東京・両国国技館で行われ、中村泰輝(日体大3年)が今年のアマ横綱に輝いた。

19年の大学1年時に学生横綱となったが、昨年は不振だっただけに「どん底を味わったので、頂点を取れてうれしい」と涙を浮かべる場面もあった。

準々決勝では高校横綱の落合哲也(鳥取城北高)、準決勝でオドフー(東洋大)を退けて、決勝に駒を進めた。決勝は神崎大河(近大)との顔合わせ。192センチ、170キロの体格を生かし圧力をかけて、最後は寄り切った。

昨年の同大会はチームメートで後輩の花田秀虎(日体大2年)が、84年の久嶋啓太(元前頭久島海)以来36年ぶりとなる大学1年でのアマ横綱となった。「うれしいけど、同じチームとして悔しい気持ちが大きかった」と刺激に。ビッグタイトル獲得に向けて「ぶつかり稽古は誰よりもやってきた」と自負。今大会も長い手足を生かした突き押しが光った。日体大相撲部の斎藤一雄監督は「彼(中村)と花田は(主要大会)全部で決勝をやってもおかしくない。彼と花田は将来横綱、大関にいけるだけの可能性がある」と、その将来性に太鼓判を押す。

この日は出身の石川県津幡町で成人式が行われていたという。8月に開催される予定だったが、コロナ禍で12月へと延期になっていた。「(地元の)みんなにいい報告ができると思います」。全日本のタイトルを取ったことで、大相撲の幕下付け出しの資格を得た。有効期限は2年以内。大学は卒業する予定で「(将来的に)挑戦したい」と、角界挑戦への意欲を示した。