今季の関東大学ラグビーリーグ戦5部1位の新潟食料農大が12日、来季の同4部昇格を懸けて創価大(4部8位)と東京・舎人公園陸上競技場での入れ替え戦に臨む。創部2年目で全員1、2年生ながらリーグ戦4戦全勝をマーク。高校ラグビーの強豪・東福岡を計4度の全国制覇に導いた名将、谷崎重幸監督(63)の下、着実に実力をつけてきた。昇格を決め、部の歴史に新たな1歩を刻む。

リラックスムードの中に新潟食料農大フィフティーンは自信を忍ばせる。主将のNO8石川智也(2年)は言う。「やってきたことをやるだけ」。基礎練習に徹した通常練習の内容は、入れ替え戦を前にしても変わらない。敵陣で守備をしてペナルティー獲得を狙うスタイルを磨き続ける。「プロセスをしっかりやれば結果はついてくる」。谷崎監督も手掛けた準備に手応えを感じている。

5部リーグでは敵なしだった。3戦3勝同士の順位決定戦では順大を24-14で破った。創部1年目の昨季、リーグ戦デビューの一戦で20-73で敗れた相手にリベンジした。この試合の14失点はリーグ戦最多だったが、攻撃では全戦3トライ以上を奪った。2年生は“本職”がFWばかりの18人。そこに今春、9人のバックスを含む20人の1年生が加わった。バックスリーダーのFB立木健斗(2年)は「キックの精度が上がった。エリアを取って、強みのFWを生かせる」。プレーの幅の広がりは結果に表れた。

谷崎監督は「みんな素直で純粋にラグビーに取り組んでいる」と目を細める。8月の長野・菅平合宿では昨季大学王者の天理大をはじめ、東洋大、流通経大、山梨学院大と練習試合を行った。「ほとんどの相手にボコボコにされた」(石川)が、意識は高まった。もともと行っていた選手間のミーティングの中身はより密になり、朝練習だけでなく、講義の空き時間にも自主練習をするようになった。

「すべて選手の意思」と谷崎監督。自主性を重んじる“谷崎イズム”の浸透が実力アップの土台にある。そんな成長を形にする場が入れ替え戦。「チームのために体を張る」。創部以来、最大の一戦。石川は力強く言った。【斎藤慎一郎】

◆新潟食料農大ラグビー部成績 20年4月創部し、関東大学リーグ5部に所属。1年目の昨年はコロナ禍で入れ替え戦なし。交流戦のみの実施で2勝1敗。今年は5部Bブロックで3戦全勝で1位。同Aブロック1位順大との順位決定戦を制し、5部1位で入れ替え戦進出を決めた。