オーストラリア入国をめぐり、査証(ビザ)取り消し問題に揺れる男子テニスの世界王者、ノバク・ジョコビッチ(34=セルビア)の全豪オープン(17日開幕、メルボルン)出場は、いまだに不透明だ。同大会の本戦組み合わせ抽選が13日に行われ、ジョコビッチは第1シードとして、1回戦で同78位のケツマノビッチ(セルビア)と対戦予定となった。しかし、同政府のホーク移民相が、再度、ビザ取り消しを考慮中といわれ、出場できるかどうかの判断は、まだ出ていない。

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本戦組み合わせ抽選の開始直前になって、いきなり開始時間が延期された。予定されていた日本時間午後1時(現地時間午後3時)ではなく、同2時15分(同4時15分)に変更となり、ジョコビッチの処遇が進展したのかと大きな注目を集めた。2時20分頃、抽選はスタートした。

まず、女子シングルス本戦の抽選が行われた。2連覇を狙う大坂なおみの名前も呼ばれた。女子が終わると、5分ほどの休憩を挟み、男子シングルス本戦に移った。最初に、ノーシード選手が自動で振り分けられる。次に、シード選手が抽選されるが、「NO・1シード、ノバク・ジョコビッチ」と呼ばれ、組み合わせの最上段に名前が入った。

実は、同日、オーストラリア政府のホーク移民相が、ジョコビッチのビザを取り消すかどうかの判断をするとされていた。しかし、地元メディアの報道によると、ホーク移民相は熟考を重ね、この日中に結論を出せなかった模様だ。

抽選と並行して、首都キャンベラで会見を開いた同国のモリソン首相は「ホーク移民相に任せてある」。しかし、「入国する外国人はワクチンを2回接種していることを示すか、医学的な理由で接種できないことを証明しなければならない。この方針は変わっていない」と強調した。

ジョコビッチは、この日もセンターコートで練習を行ったが、前日に自身のSNSで声明を出した以外は、沈黙を守っている。全豪のドローに名前が掲載されたが、出場できるかどうかは、また別問題だ。

もし、ビザが再度、取り消された場合、ジョコビッチ側は再び裁判に訴える可能性がある。しかし、裁判所が結論を出すまで、移民用のホテルに隔離されることは濃厚だと言われている。果たして全豪に間に合うのか。それとも国外退去となるのか。まずホーク移民相の決断は14日以降に持ち越された。