男子100メートルバタフライは水沼尚輝(25=新潟医療福祉大職)が51秒76で優勝した。5日の国際大会日本代表選手選考会(東京・辰巳)で日本記録を13年ぶりに0秒14塗り替える50秒86の日本新を出したばかり。日本記録保持者としての初レースは、2位以下を2秒74差引き離す貫禄の泳ぎだった。

豪快なストロークで水沼がプールの水をとらえた。サイズ30センチの大きな足も、強力な推進力を生む。後半の50メートルは27秒22。持ち前の後半の粘りで51秒76をマークした。5日の日本新記録樹立(50秒86)から8日。「身体的、メンタル的に衰弱している中でしっかり51秒台。今出せる力は出せた」と笑顔を見せ、「実力がついていると感じる」と手応えも得た。

日本人で初めて100メートルバタフライで51秒の壁を破った。これまで、いつも51秒00を視野に入れて練習してきた。「ずっと日本記録にこだわって練習して強い気持ちで挑んできた」と言う。そんな水沼が、次に挑むのは50秒39のアジア記録。下山好充監督(50)は「常にチャレンジしていこうと、水沼と話し合っている」と話した。

世界選手権(6月18日開幕=ハンガリー・ブダペスト)に向け、5月下旬には欧州入りする予定だ。スペインとフランスの欧州サーキットでタイプの違うスイマーと戦い、経験を積む。前回の世界選手権(韓国)は準決勝止まり。「1回目の世界選手権の悔しさと、東京オリンピック(準決勝敗退)の経験をブダペストで生かしたい」。水沼は6月、3度目の「世界」に挑戦する。【涌井幹雄】