北京五輪アルペンスキー男子回転に出場した小山陽平(23=ベネフィット・ワン)が11日、小樽市内の母校小樽双葉高での報告会に出席した。母校を訪れるのは19年夏以来、約3年ぶり。「たくさんの在校生に出迎えられスキーより緊張した。気にかけてもらえることがありがたい。競技をやっていて良かったなと感じた」と感想を口にした。

初出場の五輪では、1本目の中盤に、片足のスキーが旗門不通過となる反則で途中棄権。「ラインの選択ミス。何とか完走したかった。コースマネジメントなど、今回の反省を次の五輪に生かしたい」と課題を挙げた。高校時代の恩師で小樽双葉高スキー部の玉川裕介監督(40)は「これまでも悔しい思いをしてきているのを見ているし、その度に成長している。五輪の経験を糧にしてくれたら」とさらなる進化を期待した。

昨年12月のW杯マドンナディカンピリオ大会(イタリア)で自己最高の8位に入り、五輪切符を獲得した。日本勢では17年1月の湯浅直樹氏(38)以来となるW杯1桁台に入り一躍、注目を浴びた。これまで日本アルペン界をけん引してきた、その湯浅が今季限りで引退し、今後はけん引役としても期待される。「他の選手とみんなで世界との差を縮め、日本というチームで強くなっていけたら」と思い描いた。

3月には、W杯回転で日本人最高の2位に3度入り、4大会連続五輪出場となった14年ソチ大会後、山岳スキーのプロに転向していた佐々木明(40)が、アルペン復帰を表明。12月のW杯で8位に入った際は「その調子で頑張れ」と激励を受けていた小山は「佐々木さんは、速く滑る高い技術を持っている。もし今後、一緒にトレーニングする機会があれば、いろいろ聞いてみたい」と“佐々木イズム”導入も見据えた。

五輪切符を得られた要員として「下半身と同時に、それをサポートする上半身を重点的に鍛えたことが大きかった」と言う。筋力アップで、昨季までの70キロから、今季は77キロ前後まで上げて臨み、W杯8位、五輪出場とステップを上がった。「これ以上、重くすると動けなくなるというところ。体重を上げることで、荒れた雪面にはじかれなくなる」と説明。五輪後には、左足首のくるぶし付近を手術し、術後は順調に回復。「休養は十分取った」と2週間後には陸上トレ、8~9月にはスイスでの雪上トレーニングを始め、新たなシーズンに備える。

4年後の26年ミラノ・コルティナダンペッツォ五輪では27歳。「年齢的にもピーク。メダルを取ることを念頭に置いて、その場所にいられるような結果を残していきたい」。アルペン勢では56年コルティナダンペッツォ大会の猪谷千春以来、70年ぶり2人目のメダル獲得を目標に定めた。【永野高輔】

◆小山陽平(こやま・ようへい)1998年(平10)5月31日、石川県金沢市生まれ。金沢内川小1年で競技を始め、全国中学大会では内川中2年で大回転、同3年で回転優勝。小樽双葉高では1、2年時全国高校大回転連覇。3年時は世界選手権出場のため不参加。16年ユース五輪(ノルウェー)大回転銀メダル、世界ジュニア選手権大回転優勝、回転2位。17年札幌冬季アジア大会大回転優勝。家族は両親と弟。167センチ、76キロ。