文武両道のスケーターが、ジュニア世界一決定戦で3位に食い込んだ。

21年春に神戸大国際人間科学部発達コミュニティ学科へ入学した壺井達也(19)が、フリー3位の154・67点を記録し、自己ベストの合計233・82点をたたき出した。

ジュニア世界歴代最高得点で優勝したイリア・マリニン(17=米国)、2位に入ったミハイル・シャイドロフ(17=カザフスタン)とメダリスト会見に臨むと「3位になれてうれしい。今回の世界ジュニアで表彰台に乗れたのが、一番の収穫です」とほほえんだ。

新天地での成長を示した。21年春に愛知・中京大中京高を卒業。国立の神戸大へと進学し、関西で初めての1人暮らしを始めた。拠点を移すタイミングで22年北京五輪(オリンピック)銅メダル、世界選手権優勝の坂本花織(シスメックス)らを担当する中野園子コーチに指導を受け始めた。

「受験でスケートから離れたけれど(21年)4~8月に中野先生のもとで厳しい練習をして、シーズン後半につながってきました」

この日、冒頭で4回転サルコーを着氷。壺井自身が「自分の中で満点の評価」と振り返る出来だった。トリプルアクセル(3回転半)も2本をそろえ、完成度の高さが際立った。SPで5位に入り、フリーはマリニンと同じ最終組。26年ミラノ・コルティナダンペッツォ五輪で金メダルも期待される米国の逸材と練習し「練習からトーループを安定して跳んでいて、4回転ルッツもクリーンに決める。生で見ていると、すごい迫力。今、僕の4回転はサルコーだけですが、オフに『トーループやループも習得したい』と思うようになりました」と刺激を得た。

来季は年齢で自動的にシニアへと上がる。壺井は穏やかな口調で誓った。

「日本ではシニアに上がると強い選手が周りにたくさんいる。羽生(結弦)選手、宇野(昌磨)選手、鍵山(優真)選手をはじめ、世界のトップで戦っている選手に、しっかり食らいつけるようにしたいです」

1年間の成長への手応えを胸に、新たな世界へと足を踏み入れる。【松本航】