24年パリ五輪の星が輝いた。個人メドレーでアジア大会(9月、中国・杭州)代表入りを決めている15歳で高校1年の成田実生(みお=金町SC)が、女子200メートル背泳ぎを2分10秒45で制した。前日の200メートル個人メドレーでは東京五輪2冠の大橋悠依に迫り準優勝した勢いに乗り、日本の頂点に立った。

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15歳が初の日本一に輝いた。アジア大会代表入りを決めていた個人メドレーではなく、200メートル背泳ぎで頂点に立った。「まさか優勝できるとは思っていなかった。すごくうれしい。自己ベストを2秒ぐらい縮めることができた」。あどけない笑顔がはじけた。

前半100メートル通過は5番手。残り50メートルのターンで3番手タイに浮上する。身長160センチ。すらりとした腕をいかした、伸びやかなフォームで前を捉える。「プラン通り運べた。前半は抑え、後半どんどん上げていくイメージだった」と一気に突き放した。

400メートル個人メドレーは3位、200メートル個人メドレーでは、東京五輪2冠の大橋に迫る2位、200メートル背泳ぎは優勝。伸び盛りの15歳は、今大会で1日ごとに成績を積み上げていった。「ちょっと疲れていると思うけれど、最終日にいい結果が出た。少しは体力がついている証拠かな」と笑った。

3月の国際大会日本代表選考会では、400メートル個人メドレーでアジア大会の代表入りを果たした。直後の代表合宿では、合同練習後に1人で居残り練習。先輩たちが驚く中、本人は「大会が終わった後、2日間くらい泳いでいなかったので、大丈夫かなと思って…」とどこまでも貪欲だ。

高校生となった4月以降は初の電車通学など新生活に慣れることに苦戦していた。「いい練習が積めていなかった」と話すが、積み重ねてきた豊富な練習量が、日本一を決める大舞台で花開いた。アジア大会は「個人メドレーでベストを出して決勝に進出する」ことが目標になる。急激な成長曲線を描く15歳。まだまだ強くなっていく。【奥岡幹浩】

◆競泳日本選手権での主な年少優勝 80年には200メートル平泳ぎで長崎宏子が小学6年にして日本一となった。池江璃花子は中学3年だった15年には50メートルバタフライを制し、96年に100メートルバタフライ優勝の青山綾里以来19年ぶりの中学生による日本選手権制覇を遂げている。16年には高校1年の池江が3種目を制覇。00年シドニー五輪銀メダリストの田島寧子も、高校1年の97年に女子200メートル個人メドレーで優勝した。

◆成田実生(なりた・みお)2006年(平18)12月18日生まれ、東京都葛飾区出身。金町SC所属、淑徳巣鴨高1年。幼稚園入園前からスイミングスクールに通い始める。得意種目は背泳ぎ。趣味は絵を描くことと、家族でのドライブ。好きな教科は英語、苦手は数学。身長160センチ、体重42キロ。