東京オリンピック(五輪)・パラリンピック組織委員会が21日、最終の第50回理事会を都庁で開き、発足から約8年半の活動をまとめた公式報告書を承認、公表した。

各大会ごとに国際オリンピック委員会(IOC)へ提出するもので、主に招致から開催準備、聖火リレーや会期中の運営を総括した第1部が447ページ、アスリートの成績など競技面を振り返る第2部がページにまとめられた。

第1部では、新型コロナウイルスの世界的流行による史上初の1年延期、大会の感染症対策ルール集「プレーブック」徹底の成果、会場計画の見直しも含めた簡素化、経費削減などの取り組みを「東京2020モデル」として、時代に即応した意義、大会の新たな姿の継承を求めていく提言を報告書に盛り込んだ。

参加アスリート数は、五輪が205の国と地域に難民選手団を合わせて1万1420人、パラリンピックには161の国と地域+難民選手団の4403人となった。

ほぼ無観客となった会場のチケットは、オリパラ合計で865万枚の販売を見込んでいたが、宮城県のサッカーなど一部スタジアムと学校連携プログラムによる5万8000人の観戦にとどまったことも正式に報告された。

東日本大震災からの復興とともに、理念として掲げてきた「ジェンダー平等」「多様性と調和」に関する社会に向けた動きについては、開幕間近に起きた組織委幹部や関係者の人権に関する言動に触れ「組織委が重要さを再認識する契機となっただけでなく、日本社会全体の議論を活発化させることになった」とした。

過去の言動でクリエーティブチームのスタッフの辞任、解任が相次いだ開会式直前の騒動に関しては「インターネットによって情報が蓄積し、拡散していく中で、スタッフを選定する際にどの程度の粒度で過去の言動等をチェックしていくのか、また、過去の言動と現時点での活動の関係性や評価をどう整理するのかといった課題が残った」と記した。

財務面では、大会経費全体の見通しの総額が約1兆4530億円となったことを最終報告。招致決定後、初めて経費総額を見積もった予算第1版(16年12月)の1兆5000億円(予備費除く)を470億円ほど下回った。

最後は「東京2020大会の経費に対してさまざまな意見はあるが、大会経費の中には、国立競技場や新設の都立スポーツ施設の建設費も含まれており、大会の開催に当たって整備されたこれらの施設が、国民および都民に今後も数十年にわたって活発に利用され、レガシーとなっていくとともに、既存施設の活用や簡素化など、大会における経費抑制に向けた取り組み自体が、今後のオリンピック・パラリンピック競技大会をはじめとする各種スポーツ大会等の開催に当たっての参考となることを期待する」と締めくくっている。