昨季の4大陸選手権で銀メダルを獲得した友野一希(24=上野芝スケートクラブ)が、新プログラムで壁をぶち破る。

22-23年シーズンのショートプログラム(SP)は「ハッピー・ジャズ」に、フリーは「こうもり序曲」に決定。選曲の理由や意欲は、こう説明した。

<SP>「どちらもテーマとして自分らしさはあるんですけど、実はやったことのないジャンル。どちらも挑戦。どの選手も五輪シーズンが終わって挑戦できる年。僕も同じです。SPはアップテンポなんですけど、実は初めて。曲名もハッピーなので、僕らしいホントに自分がスケートを楽しんでいる姿を皆さんに見てもらって幸せになってくれるようなプログラムになれば」

<フリー>「クラシックなんですけど、少しコミカルテイストもあって。クラシックだけど、少し自分らしさが出ているプログラムなんじゃないかな。リズムの取り方も、ちょっと今までとは違って。独特なクラシックで1つ1つリズム取るのが難しいなと思いますし、1つ1つのポーズで、ごまかしがきかないなと思いますし。自分が必要としている課題を与えてくれる曲だなと思います」

挑戦の糧とする昨季は、飛躍した先にまた壁があった。グランプリ(GP)シリーズのロシア杯で3年ぶりの表彰台となる3位に返り咲き、年が明けて4大陸選手権で2位、世界選手権で6位入賞。一方で各大会の頂点に、北京オリンピック(五輪)には届かなかった。

ただ、ひとつ殻を破った感覚はハッキリとある。

「昨シーズンは厚い厚い壁が少しだけ砕けて、ちょっと光が差したようなイメージ。でも、やっぱり壁を完全に壊せるようにしないと。『トップの選手』と言ってもらえるようにならないといけない。気付けば、この合宿でも最年長になるのかな。その中でも負けずに、今までの経験をしっかり生かした戦い方ができればいいなと思っています」

環境面では6月末にセントラルスポーツとの所属契約が満了した。上野芝スケートクラブに戻し、原点回帰の思いで再出発する。

「僕が高校に入る以前、ずっと所属していたクラブです。僕がスケートを始めたリンクのクラブでもあります。ずっと、僕がやっている間は、とクラブも残してくださっていて。ですので、所属先が決まらない間は上野芝クラブでやりたいなと思っています。リンクはないけど、クラブだけは残してくれたので、しっかり恩返しできればいいなと思います」

【木下淳】