【トリノ(イタリア)8日=松本航】フィギュアスケート世界女王の坂本花織(22=シスメックス)が“エンジン空回り”から意地をみせる。

4年ぶりの出場となるグランプリ(GP)ファイナルは8日開幕。昨季は出場権を得ながらもコロナ禍で中止となった。7日の公式練習後には「どうも調子が上がりきらない」と声のトーンを落としたが、持ち前の明るさは健在。9日(日本時間10日)のショートプログラム(SP)でエンジン稼働なるか-。

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坂本らしさ全開だった。SPを2日後に控えた7日の公式練習。取材エリアで大げさに疲れた表情を見せると「どうも調子が上がりきらないというか…。エンジンだけかかっていて、マジでもう『スコーンッ、スコーンッ』って感じ。『頼むからやってくれ』と自分でも思う」と苦笑いした。

第1戦スケートアメリカ優勝、第5戦NHK杯2位。堂々とした戦績だが「練習でもうちょっと自信がほしい」と明かす。一例が北京五輪銅メダル、世界選手権優勝時にも得点源となったフリップ-トーループの連続3回転ジャンプ。腕が先行して振り回す形となり、上半身が先に進む。トーループを跳ぶ際に腕を戻すことで無駄な動作ができているという。今大会には中野園子、グレアム充子両コーチが同行し「数をこなすしかない。ほぼ根性論。跳び方の正解を知っているのが先生たち。『先生がおらんかったら終わるな』と思っています」と笑わせた。

気分は晴れないが、写真撮影の瞬間にピースをするなど人柄は変わらない。シリーズ上位6人だけが集う舞台。最後の最後までエンジンをふかし「内容重視。今できることをやり切りたい」と演技後に笑いたい。