国民体育大会のフィギュアスケート競技は30日に青森・フラット八戸で成年女子ショートプログラム(SP)が行われ、世界女王の坂本花織(22=兵庫・シスメックス)が81・50点で首位発進した。

77・10点で2位につけた三原舞依(同)との最強コンビで兵庫県代表としての優勝、2連覇がかかる世界選手権(3月、さいたまスーパーアリーナ)へ勢いをつける。成年男子は佐藤駿(埼玉)が253・12点で優勝、9位の織田信成(大阪)は来季の現役続行を表明した。

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すこぶる両肩を揺らした。演技後半、不安があったフリップ-トーループの連続3回転ジャンプを降りきる。「なんかいつもよりめっちゃ時間が余った」。息つく暇がないハイレベルのプログラム。前戦までと違い、着氷してから、いつも以上に大きく振り付けられた肩の動きを表現できた。 リンクサイドから見守る、国体ならではの仲間の声援を「おもしろいな」と聞き入りながら、フィニッシュへ。「ちょっとびっくり」の得点は、国際スケート連盟(ISU)公認の自己記録80・32点を超えた。

北京五輪を戦った昨季からの精神面での反動に苦しんだ11月までの姿は、もう過去だ。昨年末の全日本選手権を制し、今年すでに3戦目。試合でしか会得できない演技のコツがあると実感し、試合を積む。今大会はお世話になっている兵庫県の代表。チームメートの三原との出場に、「勝ちにきてるんで! すいません!」と笑顔で宣言した。

声は弾む。「シーズン序盤のメンタル、体に比べたら本気モードになってきたし、戦闘モードっていう感じになってきているので!」。母国開催の世界選手権での2連覇へ、肩で風を切るような勢いが出てきた。