車いすテニス男子で、パラリンピック計4個の金メダルを獲得した国枝慎吾さん(38=ユニクロ)が7日、現役引退会見に臨んだ。所属先であるユニクロの柳井正社長も同席した。一問一答は以下の通り。

    ◇    ◇    ◇

-09年プロ転向した際、「車いすの子どもたちに『車いすプレーヤーになりたい』という夢を持ってもらえるのでは」と口にした

「今も上地選手や小田選手がプロ転向して活躍している。あのときの言葉が実現したなと思えるし、もしかしたら当時思っていた以上に、そういった足跡をくっきりと残せたのかなとも思う。車いすテニス選手の若い選手は日本で増え、どんどん海外にチャレンジしている。自分がやって来たことが少しでも彼らに影響を与えられたのなら、意味があったと思う」

-活躍を支えた1人は奥様。その存在やサポートについて

「1番はリオデジャネイロ・パラリンピックが開催された16年。僕自身、相当追い込まれていた。あのとき妻の存在はやっぱり大きかった。メディアの前ではどうしても強気な発言をしなければならない雰囲気がある。そこで弱音を言ってしまうとプレーにも出てしまう。でも帰宅して妻に『もう無理かも』『もう試合に間に合わない』といった言葉を吐き出せる場所があったことは、僕の競技の助けになった。その後は大会も帯同してくれるようになった。1年間、世界各地を回っていれば孤独な思いをする。妻がいるだけで、ホテルに戻れば自宅のようにアットホームな雰囲気が流れる。オンとオフを切り替えられ、すごく助けになった」

-国民栄誉賞授与が検討されている

「先週の金曜日(3日)に連絡があり、検討しているという話だった。こうして車いすテニスが評価された。自分がやって来たことが最大限に評価されたということで、大変光栄に感じた」

-やり残したことは

「成績だとかタイトルだとかは、本当にやり残したことがない。昨年にウィンブルドンを取って、本当にやりきったなと思える現役生活を送れた。それは最高に幸せなことだと思う」