B1仙台89ERSの「ソルジャー」ってどんな人? 「ソルジャー」こと片岡大晴(37)は、仙台でのプレーが6季目となったベテラン。現チームでは、16-17年のB2降格をただ1人経験。ようやくつかんだB1の舞台で、大きなエナジーをその持ち前のハッスルプレーでチームにもたらしている。そんなソルジャーが好きなものは「妖怪」。今回はソルジャーの“妖怪愛”とハッスルプレーの源について語ってもらった。【取材・構成=濱本神威】
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幼少時代から非現実的なものに興味があった。保育園の頃にはやった「キョンシー」や、NHKドラマ「のんのんばあとオレ」(原作・水木しげる氏)の「のんのんばあ」が語る「見えないモノ」に魅力を覚えた。「妖怪って、昔の風景とセットじゃないですか? その世界観や雰囲気がすごく好きなんです。現代社会とはちょっとかけ離れている里山の風景とか、そういうのに魅力を感じます」といきいきと語った。
その経験もあり、コロナ禍での「おうち時間」に新たな趣味ができた。スマホ、パソコンで妖怪の名前を検索し、妖怪のイラストを模写。「活動ができない、試合がない時がけっこうあったじゃないですか。その時に『楽しいな』と、絵を描いていました」。お気に入りは「垢嘗(あかなめ)」や「かぶきり小僧」。「雰囲気が好き」と愛着が湧いた。「百鬼描かないといけないんで…(笑い)」。片岡の「妖怪ノート」には、現在17の妖怪が集うが、まだまだこれから。百鬼夜行の実現まで、地道に1体1体描き上げていく。
「妖怪ノート」と同じく、チームも1勝1勝を積み上げてきた。昨年12月の取材時には大阪、千葉J、横浜BCとのホーム5連戦を1勝4敗で終え、21試合で7勝と低迷。「バスケットボールは妖怪のせいとは言えないですよね…」と苦笑を浮かべていた。だが「惜しかったゲームもあるが、取れなかったのが事実」と受け止め「この勝負がしたくて目指してきた場所なのでネガティブになることはない。これを経験して、僕らが将来のナイナーズにつなげていくという責任がある」と語っていた。そこからチームは11勝を積み重ね、現在18勝36敗。「やっと勝ち方というか、『どう自分たちがプレーしていったら勝利につながるか』というのが何となく形になって、みんなもイメージしやすくなってきたと思います」と手応えを感じている。前回B1に在籍していた16-17年シーズンの14勝を超えたことについて「チームは同じではないし、相手も違う。それは分かっていますが、少しでもチーム、クラブが成長しているんだなと…。みんなの努力が、今まで何年間もかけてやってきたことが、着実にクラブの身になっているなと感じます」と目を細めた。
昨年12月24日、37歳を迎えたが、鋭いアタックやルーズボールへ飛び込むハッスルプレーなど、エナジーあふれるプレーは健在。片岡は「なんで37歳でそんなに元気でいられるんだ、あいつは妖怪なんじゃないかって、ところですよね(笑い)」と冗談めかすが、「ブースターさんに『何か起こるんじゃないか』と思ってもらえるような光や希望になりたいと思っています」とハッスルする理由について語った。「プレーできるというのは本当に尊い時間。ここから10年とか続けられるわけじゃない。いつ終わりが来てもおかしくないというのは分かっているので、大切に1試合1試合やっていきたいなと思います」。今季も残すところあと6試合。できる限りの力をコートで表現するつもりだ。
B1残留のボーダーラインは「19勝」でチーム初の残留確定は目前。今日22日のA東京戦で仙台が勝利、もしくは同日に行われる試合で「北海道が勝利」、「富山が敗北」、「滋賀が敗北」のいずれかを満たした場合にB1残留が確定する。「14勝は乗り越えましたけど、1つでも多く勝って僕たちの歴史を築いていきたいと思っています」。チームをコートの内外で支えるベテランが、あふれ出るエナジーで新たな歴史の一翼を担う。
◆片岡大晴(かたおか・まさはる)1985年(昭60)12月24日生まれ。宮城県仙台市出身。仙台高-白鴎大。同大在学中の07年にリンク栃木ブレックス(現B1宇都宮)に育成選手として入団。08年からプロ契約を結び4季在籍。以降、京都-北海道-仙台-京都-仙台。19年から仙台に復帰し、昨季は3P成功率46.7%の高確率をマークするなど、悲願のB1昇格に大きく貢献した。184センチ、80キロ。
◆ソルジャーの由来 白鴎大のチーム名が「白鴎ソルジャーズ」。「僕が活躍することでソルジャーという名前が、後輩や先輩に届いたらすごくうれしい」と、母校への愛情を表現するため、栃木の入団会見で「ソルジャーと呼んでください」とアピール。移籍後のチームでも浸透し、ファンに親しまれている。


