19年世界選手権男子400メートル個人メドレー金メダルの瀬戸大也(29=CHARIS&Co.)が銅メダルを獲得した。予選を全体3位で通過し、決勝は4分9秒41を記録。22年同選手権200メートル、400メートル個人メドレー2冠のレオン・マルシャン(21=フランス)が、4分2秒50の驚異的な世界新記録で頂点に立った。26日からは200メートル個人メドレーを控える。約1年後に迫るパリ五輪での目標の金メダルへ、マルシャンとの差を埋める挑戦が続く。

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すがすがしい表情の瀬戸が、マルシャンと水中で抱き合った。4位を0秒82差で振り切って銅メダル。残り50メートル、気心知れた同じ29歳カリシュ(米国)と競り「絶対に負けねぇ」と意地で6大会連続メダルを引き寄せた。「かなりトレーニングをしてきたからこその銅メダル。体がきつかったけど、動かせた」。そんな喜びを悔しさが上回った。

「レオン、速いっすよ。まだまだ自分の実力のなさを痛感しています」

絶対王者マルシャンの壁は高かった。世界新記録、4分2秒50-。衝撃的な4分2秒台に、自身の記録はかすんだ。誤算はパリ五輪を見据え、初めてレース前に調整をした点。16年リオデジャネイロ五輪金メダル金藤理絵さんを担当し、昨春から指導する加藤健志コーチは「600馬力のエンジンが1000馬力になった。車種も全然違う。ものすごいテクニックも上がっているけれど、ツルツルのタイヤで出て、スピンをして終わった」と分析した。

来年のパリ五輪を30歳で迎える瀬戸に対し、マルシャンは8歳年下。自国の五輪を控えたスターは伸び盛りで、187センチの身長を生かして進む。一方の瀬戸は174センチ。加藤コーチは「大也は泳ぎ以外を水中に持ち込まない。本当に指先まで全身のことを考える」と教え子の才能をたたえる。

リオ五輪直前、瀬戸は金藤さんの練習に驚いた。ベンチプレス80キロ5回。同じ重りの自らを比較し「理絵さん、これだけやって金メダルを取れなかったら…」と考えるほどの覚悟を見た。21年東京五輪はメダルなし。その残像も背中を押し、加藤コーチと猛練習を積んで1年5カ月になった。

「パリの金メダルは正直果てしない。でも、0%ではない。少ない“%”をどれだけ大きくできるのか。ここからの1年の、自分の頑張り次第だと思います」

マルシャンとの差は6秒91。覚悟を決めた以上、五輪金メダルの夢は簡単に諦められない。【松本航】

 

◆瀬戸大也(せと・だいや)1994年(平6)5月24日、埼玉県生まれ。埼玉栄高から早大。世界選手権では19歳で初出場した13年に400メートル個人メドレー金。19年に200メートル、400メートル個人メドレー2冠を達成するなど、今大会前時点で金4個、銀1個、銅3個。五輪は16年リオデジャネイロ大会で400メートル個人メドレー銅メダル。17年5月に飛び込み元日本代表の馬淵優佳と結婚。子どもは娘2人。174センチ、75キロ。

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