昨季のグランプリ(GP)シリーズ銅メダル2個の住吉りをん(19=オリエンタルバイオ/明治大)がショートプログラム(SP)に臨み、69・63点で首位発進を決めた。

前日12日の木下トロフィー争奪大会に続き、3日で3演技目となったが、集中力を保った。「昨日で気持ちが切れないように意識できました」と手応えを口にした。

昨日までの大会とは異なる会場での試合。氷の質も、曲の響き方も変わる。

演技冒頭では「ちょっと音が小さいかな」と楽曲の音量が気になった。「もともとちょっとネガティブな性格」と自己分析するように、これまでは細かなことが気になり、失敗を引きずることもあった。

ただこの日は、冒頭のダブルアクセル(2回転半)を降りてから、演技へ没入した。「集中することができて、残りの2つのジャンプや他のエレメンツに出せた」。フリップ-トーループの連続3回転ジャンプ、3回転ルッツにも成功。後半でも指先を伸ばし、SPのテーマでもあるモダンインディアンの世界観を演出した。

集中力の源は朝にある。3月から起床後に座禅を組み、10分ほど心を落ち着かせている。目を閉じ、頭に浮かぶ雑念を振り払うようにしている。

「何も考えずに、流すようにしています」

ルーティンを取り入れ始めて5カ月。木下トロフィー争奪大会では、コーチから「練習から落ち着いているね。変わったね」と声もかけられた。住吉自身も“座禅効果”を実感する。

「練習で失敗してあわあわするんじゃなくて、失敗したけど次にいこうと。無駄に焦らないところが成長しているのかな」

今は1つのミスに対して寛容になってきた。

今季の目標は12月の全日本選手権で表彰台入りし、世界選手権へ出場すること。「1年を通して走り切って、ずっといい成績を出し続けることができたら」と見通す。

そのためにも、ここぞの集中力は鍵を握る。

今朝の座禅は-。

「今日は終わってから何食べようかな…というのが一瞬よぎりました。ダメですよね。でも考えちゃダメだと思って、ちゃんと流しました」

そうほほえみながら、取材エリアを後にした。心を整え、飛躍へつなげる。【藤塚大輔】