<高校ラグビー:目黒学院47ー22札幌山の手>◇2回戦◇30日◇花園

 シード校の壁は厚かった。14大会連続14度目出場の南北海道代表・札幌山の手はBシードの目黒学院(東京第1)に敗れ、3回戦進出を果たせなかった。開始1分でノーホイッスルトライを献上。相手FWのパワーに圧倒された。SO鈴木陸主将(3年)は「自分たちの想像を超えて強かった。シード校は近くて遠い」と唇をかんだ。

 ラスト1分。5メートル右中間ラックからパスでつなぎ、持ち前の展開ラグビーを見せた。パスを受けた木津谷元気(2年)がトライ。時計はすでに30分を回っていた。ゴールキックで試合は終了する。鈴木主将から「来年もあるんだから」と木津谷にボールが渡された。

 ゴールが涙でかすんで見えなかった。許される時間をギリギリまで使い、ひと呼吸を置いて右足でキック。審判の笛で成功がわかった。「3年生にはお世話になった。自分が試合に出られたのは、自主練につきあってもらったおかげ」と感謝の言葉があふれた。

 シード校とはこれで8連敗も、過去最多得点を挙げて手応えを感じ取った。3年生の無念は1、2年生が引き継ぐことになる。新しくチームを束ねる主将は、木津谷に任される。「3年生には土台を作ってもらった。来年はさらにレベルアップして、打倒シード校を目指す。来年は笑って終わりたい」。泣きはらした目は、すでに来年の雪辱を見据えていた。【保坂果那】