山形中央は19-80で新田(愛媛)に屈し、12大会連続の初戦敗退を喫した。敗れはしたが、出場51校中最少の「16人ラグビー」で奮闘。3トライ2ゴールで、11年以来7年ぶりの花園得点を挙げ、新チームにつながる新たな足跡を残した。

憧れの花園第1グラウンドで山形中央が県勢14年ぶりの白星を逃した。2大会連続3度目の愛媛県勢との対決。05年初戦で敗れ、連敗スタートになった新田に雪辱できなかった。だが、1つの目標は果たした。0-14の前半7分、敵陣22メートルライン付近のラックからNO8中川肇(3年)が左に持ち出し、左中間に反撃のトライ。「前が空いていたので思い切り走った。負けた悔しさはありますが達成感はあります。いい仲間に恵まれました」とチームとして7年ぶりの花園得点を振り返った。

リザーブ1人だけの16人ラグビー。左CTB堀智貴(3年)が大会直前の22日、練習試合で古傷の左膝半月板を故障し、痛み止めを飲んで強行出場。前半26分、SO松沢拓生(3年)がキックしてインゴールに転がったボールを相手BKと競り合いながらトライにした。その司令塔の松沢は前半終盤に左膝を痛め、後半20分に途中交代。まさに16人全員で最後まで戦い抜いた。堀は「最少人数でチーム全員で戦えた」と胸を張った。

左フランカー長瀬寛大主将(3年)ら3人が1年時からのレギュラー。2年前は松山聖陵(愛媛)に完封負けし、昨年は花園切符を逃す悔しさも味わった。就任5年目の佐藤大志監督(33)は「持っているものすべてを出してくれた」と選手たちをねぎらった。3年生5人が抜ける新チームは11人になり、新1年生が入学する来春まで鶴岡高専と合同チームを組む予定だ。高校限りでラグビーから離れる長瀬主将は「最後の試合を第1グラウンドでやれた。この経験を生かして来年こそ勝ってほしい」と後輩たちにエール。佐藤監督は「(全国で)通じる部分ができてきた。強みの部分を増やしていきたい」と再スタートを誓った。【佐々木雄高】