関西学生代表が最後の1プレーで痛恨の失点を喫し、NZ学生代表からの歴史的な初勝利を逃した。

無念の笛が快晴のダニーディンに響いた。後半40分、自陣ゴール前約30メートルでの反則。静まりかえったグラウンドで相手のPGが決まると、関西学生代表はがっくりと肩を落とした。同時に告げられたノーサイド。あと1歩で下克上を逃し、フランカー岡山仙治主将(4年=天理大)は「悔しい。NZ学生代表相手に善戦したのは収穫だけれど、負けは負け。この負けを無駄にしたくない」と唇をかみしめた。

序盤からスクラムでペナルティーを得るなど圧倒。だが、ラインアウトや広いスペースでの防御の穴を突かれるシーンが目立った。前半を10-17で折り返し、後半に入ると一時は12点のビハインド。それでも39分、CTBシオサイア・フィフィタ(3年=天理大)が相手防御ライン裏へ転がしたキックに、WTB中孝祐(4年=関学大)が反応して同点トライ。張り詰めた空気感で迎えた最後のプレーで、勝利の女神は相手に味方した。

昨季は天理大が全国大学選手権で準優勝。その天理大は関西リーグ1試合平均68得点と「1強」の戦力図だった。関西学生代表を率いた大西健監督(69=京産大監督)は事前合宿から「勝てる力があった天理大が最後に勝てなかったのは、関西が弱いから。冬に関東に勝つためにやっている。仲良し集団になるのはいけない」と繰り返し唱えてきた。練習では自らスクラムマシンに乗って指導した指揮官は「勝てなかったけれど、素晴らしいゲーム。十分、関東に通用する力がついた」とリーグ全体のレベルアップを実感した。

一方、選手たちは悔しさを胸に刻んだ。突破だけでなく、パス、キックで抜群の存在感を示したフィフィタは「U-20(20歳以下日本代表)に選ばれたら、オーストラリア遠征(4~5月)がある。この経験をそこで生かしたい」とキッパリ。昨季関西4位で、関学大の一員として大学選手権出場を逃した中は「チームに持ち帰って、還元したい」と秋の勝負を見据えた。【松本航】