今季限りで勇退する京産大の大西健監督(69)が、リーグ戦における「最後の同大戦」を勝利で飾った。

1点リードの後半9分には自慢のスクラムを押し込み、SO家村健太(1年=流通経大柏)のキックに反応したWTB堀田礼恩(れおん、2年=京都成章)がトライ。全国大学選手権で再戦の可能性を残すが、しつこい防御で同大を振り切り、大西監督は「同志社には思い入れがある。追いかけてきた歴史がある。リスペクトが最大のチーム。ライバルと言えるような試合ができた」と過去の戦いを思い返した。

前日9日には、4連覇を狙う天理大が開幕5連勝。すでに1敗している京産大にとって、21年ぶり優勝へ、絶対に負けられない戦いだった。前節の摂南大戦は33-26と苦しみ、名将は「恥ずかしい。ひたむきさのかけらもない」と一喝。「今日負けたら優勝は0。0か100の戦い」と言い聞かせながら準備を施した。

この日の試合メンバーは、京都から神戸へと新幹線移動して会場入り。普段は現地集合だが、1つの塊で「特別な一戦」の意識を高めた。FWは全員が伝統のジャージーに合わせ、赤のスパイクを履いて大一番に臨んだ。メンバー外が試合日の朝に取り組む8キロのランニングも、誰もが手を抜かずに消化。ロックの伊藤鐘平主将(4年=札幌山の手)は手応えを「チーム全体がまとまっている。『ONE TEAM』になってきた」とワールドカップ(W杯)日本代表のスローガンに重ね合わせた。

次節は立命大戦(17日、滋賀・皇子山)、最終節には首位天理大戦(30日、京都・西京極)が控える。大西監督は「これで天理への挑戦権が残った」。伊藤主将も「(大西)先生も最後、僕ら(4年生)も最後。気持ちを引き締めて、京産らしいラグビーをしたい」と言い切った。残り2戦に全てを懸ける。【松本航】